日高税務会計事務所

まず出来る簡単なところから手をつけるのが良い!?

17.06.12 | 所長メルマガ

掃除や仕事あるいは問題解決にあたってこのように言われたことがあると思います。新人など経験がないものが、初めてのコトに挑戦する場合は正しい。また、ベテランでも長期の休暇明けで感や調子を取り戻すためならばそれも正しいと言える。しかし、これが一般的と考えるのは間違いで、大変で最も影響力のあるものから手がけるのが正しい。

簡単なものからと言われる理由は、①全体像を把握出来ていない経験の乏しい者が正しい解決策にたどり着けるには時間が掛かるため ②難しいところから挑戦して失敗した場合強い挫折感を味わう(トラウマ化)。これを避けるため ③まず最初に達成感を味わわせ(成功体験)自信を付けさせるため などが上げられる。こうしたことは、スポーツで言えばウォーミングアップのようなもので、習慣化してしまえば問題解決力の向上につながらない。今、自分の目の前で溺れかけて人が流されているならば、あるいは周囲の状況から危険が迫っているのに気づいていない人がいるならば、多くの人はとっさに救うための行動を起こすだろう。その時に準備運動などしない。自分の体に怪我や故障が起こらないように準備運動を行ってから、救助の行動起こせば間に合わない。瞬時に最善の策となる行動を起こすだけです。会社で経営者や管理職などは新人よりも能力が高い。だから、影響力の大きい課題から取り組むのは当然です。現在、多くの中小零細企業は、利益率が下がっています。つまり売上先の元請けであれ消費者であれ、以前ほど儲けさせてくれない。大手は高給取りのリストラ、非正規雇用者の増加、サービス残業の増加など人件費等の削減で利益を増やしているところが多いようです。ところで経費節減、原価引き下げ、売上増加のいずれも利益増加につながるが、経費節減が一番実行しやすい。売価の引き上げは、お客様の理解が必要だし、競争相手を利することになる。売価を値下げして数量を増やし総額を増やして儲ける手もあるが、予想通りに売れなければ赤字となる。新商品等もどうなるかやってみないと分からない。原価削減は相手業者との力関係も影響し、また自分のところだけ特別は長く続かないハズ、その上、製造の合理化等はもう限界だし、画期的な技術など滅多に生まれない。結局、軽費節減が一番簡単だから多くの会社でそう言われる。しかしながら、零細企業には削るべき経費がほとんど無い。経費は人件費等・販売費・維持管理費に分類できる。人件費等を削れば、優秀な人から辞めモチベーションも下がる。販売費(販売につながる経費)を減らすと売上は下がる。維持管理費を減らすとミスやトラブルが多くなる。また、これらを減らしても全体の数値に占める貢献度は低い。こうしたことから経営幹部がやるべきことは、売上を増やす、もしくは粗利益(売上-原価=粗利益)を増やすことです。勘違いは無いと思いますが、社長等が営業を行うことでは有りません。(もっとも、中小零細企業は営業出身の社長も多く、今でも社内で一番である場合も多い。)たとえ、技術系の社長であっても主力商品の動向に人一倍関心を払い、営業部長まかせにしないことであり、営業部隊の援護のためのアイデア商品の開発を行うなど全力でサポートすることです。新商品等の開発が社運に影響するなら直轄管理で開発者をフォローするなど。自分が持てる経験や能力で数字の達成の陣頭指揮を執ることです。つまり、会社の一番大きな課題に挑戦するのがトップの仕事です。少し昔の話ですが、QCサークル(データ収集などの科学的手法を用いた小集団による業務改善提案活動)が盛んなころ 地域の大会で度々入賞するような会社がありました。多分、現場社員は優秀だったと思います。しかし、その後経営不振で倒産したようです。小さなことの積み重ねで会社は良くなっていくことも事実ですが、トップの誤った経営判断で会社はあっと言う間に傾いてしまうことも多いようです。

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