日高税務会計事務所

守りの強者の戦略!?

17.10.13 | 所長メルマガ

近年、事故や不祥事がニュースとなることが多いようで、それも大手企業や責任のある地位の方などが批判の対象なります。福島第1原発も国の政策と対応のまずさが被害を大きくしたと言われます。企業がリスクにあって倒産する事例もありますが、乗り切って発展する場合もあります。今月は、守りに対しての強者の取るべき戦略について考えてみましょう。

事例を幾つかあげてみます。セブンイレブンで鈴木氏がまだトップの時の事です。あるオリジナル新商品の試食が通常より遅れて、発売前日に行われました。食べて旨くなかったそうです。翌日店頭に並ぶべき対象の商品を全てを廃棄処分としたそうです。とりあえず出荷分はそのまま販売したらどうか、あるいは社内および関係者向けで販売したらどうかの提案も有ったそうですが廃棄を強行させました。この時の損失は五、六千万円だそうです。後日、試食合格の改良製品が販売となったようです。
次の事例は、米国での自動車関連のタカタとトヨタの対応の違いについてです。これらは米国(企業)に嵌められたと考える人もいるようです。トヨタはブレーキで、タカタはエアバックで不具合が多く報告されました。原因は当初どちらもハッキリしていません。トヨタは素早くリコールを進め、また社長自ら渡米し頭を下げるなど対応を急ぎました。数年後、不具合や事故のほとんどが運転手の操作ミスによるものとされました。これに対して、タカタは、事故の因果関係が証明されないからと対応が遅く、現地法人任せで、日本法人のトップが行動するに至ったときは、既に事遅しで、事実上倒産です。
 では、守りに強い会社の特徴を四つあげてみましょう。
 ①素早い対応が出来る
全容が分かってから対応では遅い。出来ることをすぐにやって、後で修正すれば良い。正しい対応よりも早い対応。クレームや重大な事故などは最優先で処理すること。場合によってはトップ自らが先頭に立って指揮する必要がある。遅れると相手にイメージや感情的悪影響を与え不利になる。
 ②平素から危機管理意識を持っている
後であるいはその時になってから考えようでは行動が遅くなり、また対応も誤りやすい。最悪の場面を想定し準備をしておくこと。冒険家やトッブアスリートなども準備や訓練の多い者が成果を上げる。さらに、気の緩みから生じた小さなミス等が危機を招くこともある。社員および関連する従事者の全てが危機管理意識を持ち続けるように日頃から教育等を行うこと。
 ③悪い情報が伝わる仕組みがある
良い情報は伝わっても、悪い情報はなかなか伝わらない。誰でも叱られたり責任を取りたくないので隠蔽したり、時期をおいて報告したりもする。そうなるとトップに情報が伝わった時点でとれる対策が限られてしまう。だから重要な情報(特に悪い情報)が上に伝わりやすい環境であること。報告と責任は別に取り扱う。規律や法令違反でも公になる前に報告すれば、後で発覚した場合より処分が軽い取り扱いにする会社もある。トップが自分の失敗等を堂々と語れるようにしよう。
 ④バックアップの体制がある。
万が一に備えて最低限は各種の保険に入っておくこと。自分は事故等を起こさなくても巻き添え被害に遭う可能性もある。得意先の倒産の連鎖も考えておく。(中小企業倒産防止掛金などの制度有り)。また、主力商品や取引先をある程度分散させておくのも保険です。自然災害などもあるから事業規模が大きくなれば店舗や工場も分散させる。そして一番大事なのが資金の蓄えです。いざとなったら使えるお金が会社あるいは代表者個人に有ること。儲かった時に節税で、余分なものに投資したり、保険等で課税の繰り延べで資金を必要以上に減らさないことです。お金のことが気になると思い切ってた対応が出来ないものです。やるべきことが出来る会社が強い会社です。

TOPへ