日高税務会計事務所

商品価値を高めるには、高機能商品が必要ではない!?

17.11.15 | 所長メルマガ

  よく「良いものを安く提供する」ことをモットーにしている会社がある。しかし、誰に対して、どのように良いものを提供するか具体的に決めていないことが多い。また、質が良ければ、少し高くても購入する人がいる場合、本当に安くする必要があるのか疑問に思える。例えば食堂で一般に600円程度の品が特別に旨く、仮に千円払ってもよいと思えるものが850円だと安いと感じる。これを、材料や手間分の原価だけを考慮し700円だと、お客は喜ぶが、店は忙しいだけで儲けは少ない。商品価値についても同様で、高める価値を提供する側が認識していないと、間違った努力で無駄な価値を生み出し、お客様に選択されない。

当然のことだが、本当の価値より低い商品・サービスは存在し続けることはない。巧みな広告宣伝などで一度は購入させてもリピートはない。最近はSNSなどで悪い評判が広まるスピードは速い。排除される。商品の価値がお客様が払ってもいいと考える最高の金額より低い場合に購入につながる。ところでその「価値」とは何か、分類出来ないと対策が取りにくい。諸説あるが一例を紹介してみます。
 価値は、①物的機能価値と②心的充足価値の大きく2つに分けられます。
 ①物的機能価値は、商品そのものが持っている価値で、A主要機能価値(本来の固有機能、例えばハサミは切れること、テレビは番組が見れるなど)とB付随機能価値(使い勝手やデザイン、アフターサービスなど)に分かれます。
  ②心的充足価値は、商品を使用する側が感じる心理的(精神的)価値で C快の獲得(満足感、感動、感激、優越感など)とD不快の回避解消(安心、開放感)に分かれます。
①Aの物的主要機能価値が最も大切なものでは有りますが、これにこだわり過ぎれば、今月のタイトルの高機能商品(製品)となります。高機能製品で売れない家電製品やガラケーと呼ばれる携帯電話など日本の製造業が苦戦しているところです。また、業種によって、あるいは零細企業では、この部分の価値を上げることは大変困難である場合が多いです。また、大手は低価格での大量生産大量販売により利益を稼ぐ方法もありますが中小零細企業では無理です。だから差別化によって生き残るためにも ①A物的主要機能価値は業界標準程度でありながら、①B付随機能価値を高め、②心的充足価値を高める広告や販売を研究する必要があります。よく、お世話になった方とか知り合いから、どこでも売っている商品を買ったり、もっと安く買えるのに定価で買ったりもします。これもお客様の ②心的充足価値によることが大きいと思います。「あなた(の会社)から買いたい」と思われる人間関係を構築できれば可能です。最初から特別なことをする必要はありません。コンビニの激戦地でも挨拶を徹底させたため、他店より常連客に大変好評なところがあると、ニュースで聞いたことがあります。
 そこで意識して頂きたいのが、商品に代替性(希少性)が有るかどうかです。代替性の少ない(無い)商品は値段が高くても売れます。本人にとっての思い出の商品は、他人には価値が見いだせなくても宝物です。これを意図的に創るれるかどうかです。例えば、その時・その場でしか購入できない商品。数量限定。注文生産。世界で一つだけの商品(ネーム、写真、イラスト、サイズ・デザイン・色の組み合わせ、思い出の商品の再利用)など。インターネットを利用して中小零細企業でも全国から注文がある会社が存在してます。今後さらに増えると思われます。低価格の多量生産品は大手企業に任せて、リーズナブルな中高級品を増やし、利益を生み出す会社が多くなることを期待します。

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