税理士法人SKC

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消費税率改定をストップ!

19.02.26 | 堺俊治の独り言的情報

今のところ大きな景気変動が無い限り、消費税が10%に増税されるとされていますが、もう延期される可能性はないのでしょうか?

 我が国の法人税率は、昭和60年代に43.3%で実効税率は55%超の高い税率でしたが、平成10年に37.5%、実効税率は50%未満となって、徐々に税率が下がり、平成30年には法人税率23.2%、実効税率は30%を切って29.74%となっています。中小企業においては、昭和60年に31%だった特例税率が平成30年は15%に下がっています。国際比較でみると、世界各国の法人税の実効税率の平均が24.26%、アジア諸国の平均が21.40%ですから、これだけ下げてきているのにまだ高い実効税率といえます。(実効税率:国税だけでなく市町村民税も加えた税率)
 また所得税の実効税率は、昭和62年は76%でしたが、現在は55%で、それでも先進国中でデンマークの60%超やスウェーデンより少し低い程度で、4番目から5番目の高さです。これらの比較から見れば、法人税も所得税も減税することはあっても、増税には無理があるといえそうです。
 我が国では、法人税率と所得税率を下げてきた結果、消費税が導入され徐々に税率が上がってきました。消費税率は、国際的には欧州の各国は20%を超えている国が多く、先進国ではほとんど15%を超えています。一桁代の消費税率の国はカナダと台湾、シンガポールくらいです。こうしてみると、国家予算の不足分があるとしたら、消費税を増税するしかないようには思えます。しかし、我が国は、過去2回の消費税増税の結果、消費低迷、景気の大きな後退を経験してきています。
 それに多くの賢者が指摘するように、まだ充分に国債発行の余力があるといいますし、政府の特別会計には巨額の留保金があるとかも聞きます。消費税増税による税収が5.6兆円ほどとされていますが、消費増税で景気後退が進めば、5.6兆円くらいは直ぐに税収が減収になるのではないかと心配します。また逆にアベノミクスをもう一段階上まで徹底して景気浮揚の策を打てば、消費増税分の税収くらいは自然に税収増になるようにも思いますが、皆様はいかが思われますか。

 私どもの税理処理も軽減税率の導入で大変煩雑となり、中小企業の対応は決して楽ではありません。より景気が上昇して経済が安定した状態まで消費税導入を先延ばしにしていただきたいと、最近になって切に願っています。

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