税理士法人SKC

税理士法人SKC

世界幸福度ランキング58位とされた日本

19.03.26 | 堺俊治の独り言的情報

  国際幸福デーの3月20日に、国連の関連団体が毎年発表している幸福度のランキングが今年も発表されました。さて日本はというと、2016年から、53位、51位、54位ときて、今年は156か国中58位でした。この三年の間、徐々に順位を下げてきています。

  上位10か国のうち8か国が欧州で、北欧諸国が6か国を占めています。ベスト10の他の国はニュージーランドとカナダが入っています。幸せの国ブータンがなんと95位でした。

  どうやってランク付けをしているかというと、幸福度の指標は、一人当たりGDP、社会的支援、健康寿命、人生の選択の自由度、社会的寛容さ、社会の腐敗度の6つと、全項目が最低である架空の国(ディストピア)との比較での数値だそうです。

 日本のランクを下げている下位の指標は、人生の選択の自由度(64位)、社会的寛容さ(92位)ですが、自由度は「あなたは人生での自分の行為を選択する自由に満足しているか否か」という質問であり、社会的寛容さは「この1ヶ月の間でチャリティに寄付しましたか」という質問の回答結果を一人当たりGDPと比較した指数よって示されています。日本人の回答を推測すると、前者の質問については、ほとんどの日本人は「まあまあ」あるいは「普通」と答えるでしょう。私も問われたら「満足しているとは言わないけど、そんなに不満がある訳ではない」というくらいに応えそうです。後者については、欧米人(キリスト教徒)のように伝統的習慣としてチャリティの習慣がない日本人には、かなり低い数値になるのは当然ではないでしょうか。要するに、このランクを決めている指数の基準が、欧米人(キリスト教徒)の幸福や有意義な人生の基準だということです。そうして視るとこのベスト10に如何にもと納得がいくところです。ブータンを世界一幸せな国と言われて納得するのが日本人です。韓国が54位(前年58位)なのに納得がいかないのは日本人なら私だけではないでしょう。中国が93位というのはどうでしょうか、まだ下でもおかしくないような気はしますが・・・。

 先日この件で、経済評論家の上念司氏が「国の幸福度の基準は一人当たりGDPと就業率の高さが全てだ」と力説していましたが、日本人的に観れば、就業率の高さが幸福度には最も大きい指標ではないかと私も思います。大学を出ても半数が就職できない国が近隣にありますが、日本では有効求人倍率が1.64で過去最高値に近い指数ですし、完全失業率は2%そこそこです。高齢者の雇用はこれからの課題でしょうが、若年層においては仕事が無くて困窮するということはほぼ無いのが日本の現状です。社会保障の面においても、不運にして就労が不能な国民のための生活保護費負担額は3.8兆円超になります。日本の防衛予算がわずか5兆円超ですが、この生活保護負担額と防衛予算との比較率の各国の指数を見てみたい気がします。

 自分が幸福かどうかは、また自分にとって幸福とはどんな状態かはそれぞれ違いがあるのが当然だと思いますが、キリスト教圏では、労働とは元々は奴隷がやることであり、罪深い人間にとっての懲罰であり、罪からの救済という意味合いが強く、休暇は苦役からの解放ということに近いようです。この辺が、日本人が捉えてきた、また捉えようとしてきた労働観とは根本的に違いがあるのです。日本では八百万の神々も民衆と同じに働くのです。私たち日本人は先祖代々働くことに多くの価値を見出そうとしてきました。その結果多くの日本人が、働くことは社会や他者に貢献することであると感じ、その貢献感に喜びを見出せるようになっているのではないでしょうか。だからこそ、働いていないと自分が役立たずのような気がするのも、日本人の特色のような気がします。日本人にとっては、労働に喜びを感じられることこそ幸福度の大きな指標の一つではないでしょうか。

 働く場を提供している経営者として、改めて「働き甲斐のある職場」を創造することが、どれだけ重要なことかを思い知らされます。

TOPへ