日高税務会計事務所

企業はお客様の要望を聞くべきかどうか?

14.08.17 | 所長メルマガ

一般論で言えば、要望に応えるのは当然のことと思われる。しかしながら、お客様のアンケートに基づいて商品開発をしたところ、全く売れなかったと言う話を聞いたことがある。お客様が熱心なユーザー(上顧客)ならば、応えるのは正しいかもしれない。しかし、とりあえず選択した、あるいは、関心がある程度のユーザー場合は、これに真剣に応えると失敗することも多い。もちろん、ターゲットの異なるお客様の声なども直接反映させる必要はない。その場合、必要に応じて別の商品サービスを提供し始めればよい。初級のユーザーに対しては、要望を聞くよりも正しい使い方を伝えることが大切となる。これを十分に行っていない企業は多い。たいていの場合、ユーザーよりも企業の方が、商品やサービスについての情報を、より多く持っている。また、お客様も既存の商品サービスの領域から離れた想像は稀です。だから、お客様に便利な商品サービスを新たに提供すると「そうそう、こういうものが欲しかったんだ」と潜在的ニーズに初めて気づくものだから、今まで市場に無かったより創造的な商品サービスを提供する場合、企業はそのマスターとして新たなユーザーに伝授(布教活動)する責任がある。

また、お客様の要望には、応えてはならないものもある。それは、商品サービスの基本となる理念やコンセプトに反する場合である。これを十分に考えず、むやみやたらに要望に応えていたら、個性のない、つまらないものになってしまう。目先の利益やライバル社の動向を追っていれば間違いやすい。昨今、高機能家電製品やガラケー(携帯電話)など、あれば便利だが、あまり使われない機能の商品が多い。お客様にどのような機能が欲しいかばかりを聞き、どのような機能を省いて欲しいか、或いは、本当は何を求めているのかを探れなかった企業側に失敗の原因があるのではないだろうか。とにかく、最初は企業主導で、途中からはお客様と協同で商品サービスを育てていく姿勢が大切では無いでしょうか。

では一例として、アップルコンピューターを考えてみよう。初代 Macintosh はディスプレイと一体型でした。フロッピーの取り出しボタンはなく、画面操作で取り出す仕様でした。マウスのボタンも1個です。ちなみに、アイデアの原型となったゼロックス社の研究所の試作品はボタンが三つ。Windows のマイクロソフト社の奨励は二つです。iPodのコントローラーは中央の一つがメイン。国産のモデルのようにごちゃごちゃしたスイッチ類はありません。シンプルで使い勝手がよく、感覚的に使え、近未来的なデザイン重視の商品がほとんどです。iPhoneも次期商品は少し大きくなると言われていますが、女性が十分に持てる手のひらサイズにこだわっていると言われています。また下のボタンも一つ。(ちなみにAndroidのスマホ は三つです。)もしも、サイズの大きいのが必要ならばiPadを奨励のようです。日本のユーザー向けに、赤外線通信機能やおサイフ機能(FeliCa)搭載することはないでしょう。ストラップ用の穴もありません。こだわりと多少の不便さはあるもののユーザーも多いです。

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