伝えたつもりが、伝わらないのはなぜ?
20.01.02 | 職場づくり
新年を迎え、
新たな気持ちで今年の経営方針を
お考えになっている方も多いと思います。
スタッフに今年の目標や、
あらためてご自身の院の目指す姿を
お伝えになる機会もあるでしょう。
その前に、注意することが1つあります。
1対多のコミュニケーション
昨年最後の記事「人間関係が面倒くさくなるワケとは?」では、組織の人数の増加とともに、指数関数的に
人間関係の数が増えることを解説しました。
その結果、ご自身が知らないところで
交わされているスタッフ間の会話の方が
職場におけるコミュニケーションの「量」の
大半を占めることになります。
それが、一定規模を超えると急に、
人間関係が難しくなった、
と感じる構造的要因です。
そこで、組織のリーダーである
院長に必要になってくるのが、
1対多のコミュニケーション術です。
1対多のコミュニケーションで重要なこと
1対多のコミュニケーションにおいて、
もっとも重要なことは何でしょうか?
1対多のコミュニケーションで典型的な例を
いくつか思い浮かべてみましょう。
- 学校の授業
- 新聞や雑誌の記事
- テレビのニュース
- 研修やセミナー
- 職場における訓示
- などなど
1対多のコミュニケーションは、
同一の内容を、同時に、1人の人から多数の人に伝え、
その結果、多数の人の間に「同一の理解」を形成しようとする
ところに特徴があります。
ですから、上記の例いずれにおいても、
「言葉の定義の明晰性と一貫性」が求められます。
明晰性とは、誰が聞いても誤解しようがないくらい内容が明らかであること。
一貫性とは、時と場合によって言葉の意味が変わったりズレたりしないこと。
たとえば災害時の放送に、
明晰性と一貫性がなかったら、どうなるでしょうか?
- 安全なのか、安全でないのか?
- 避難しろと言っているのか、いないのか?
- 避難するなら今なのか?いつなのか?
- さっき言ってたことと矛盾しないか?どっちが正しいのか?
- などなど
人々の理解も行動もてんでバラバラになり、
大混乱が生じてしまうでしょう。
たかが定義、されど定義。
それが人の生死や命運を分けることもあるのです。
そこで、法律や技術の専門用語は、定義が統一されています。
だから、専門用語だけでコミュニケーションが成立するし、
それができることが専門家の最低要件となります。
スタッフに専門用語で指示を出して、
「はぁ?」って顔をされて通じなかったり、
「はい、わかりました」といって全然違うことをされたりしたら、
治療にならないどころか、重大なミスにつながりかねませんね。
経営を語る言葉に明晰性と一貫性を
ところが、経営やマネジメントの世界では、
意外なほどに、言葉の定義がそろっていません。
- 経営理念
- ミッション
- ビジョン
- ゴール
- 目標
- 課題
- 問題
などなど、まさに十人十色、千差万別といってもいい状態です。
そしてこれらはいずれも、
どこかで聞いたことがある、自分も使ったことがある、
という、一見「わかった気がする」言葉です。
実はそういう言葉ほど、使うときに注意が必要です。
なぜなら、人それぞれに、「自分なりにわかった」気がしてしまうからです。
ところが、「自分なり」は人の数だけあります。
当然、1対多のコミュニケーションの目的である「同一の理解」の形成など
できません。
自分は「ミッション」について語っているつもりなのに、
聞く人は、「ビジョン」として聞いたり、「目標」として聞いたり、
さらには、「そもそもよくわからない難しいお話し」にしか聞こえない。
伝える方はさんざん「伝えた」つもりなのに、
さっぱり伝わっていないということが起きるのは、こういう理由です。
今年最初の診療日を迎える前に、
院の経営を語る言葉の定義の明晰性と一貫性を
一度チェックしてみてはいかがでしょう?
※ご希望の方には、上記1-7の言葉の定義と相互関係を整理した図解を
参考としてプレゼントいたしますので、メールにてお知らせください。
- 有限会社 サステイナブル・デザイン
- カテゴリ
- お申込み/アンケートフォーム