日高税務会計事務所

会社の規模に応じて目標・計画の立て方は違う!?

20.02.15 | 所長メルマガ

よく夢や目標は大きい方が良いと言う人がいます。今まで無かった新しいものが生まれたりするからでしょう。反対に現状では明らかに達成の可能性が無いことで、モチベーションが下がると言う人もいます。また、人生計画など長期の目標が必要だと言う人もいれば、数年先の経済環境が見通せないから長期計画は必要無いと言う人もいます。私は事業を行う場合は、規模に応じて目標や計画の立て方は違って良いと考えます。その理由を以下に述べます。

まず、規模が大きければ、短期の目標や計画が重要です。金融機関等は年二回決算ですし、上場企業は配当などの関係より半期や四半期の数字が大切です。下手をすれば社長を辞めさせられる可能性も有ります。これに対して、中小企業であれば決算は1年です。しかも同族会社であれば多少赤字が続いても社長が責任を取って辞任することなど無いでしょう。また、業績の変化から考えてみると、大きな企業は人・物・金も沢山扱えるから儲けも損失も大きく成ります。従って緻密な計画が必要となります。これに対して、小企業は人・物・金も限られていますから、無理な借金をして事業の拡大を図らなければ、損も得も限られたものになります。また、資金の制約が多く、人のレベルアップや投資も緩やかですから、比較的長期の方向性を示す必要があります。別の言葉で言えば「何をやるか」社員に分からせる必要があります。社長や経営陣もプレイングマネージャーで有ることが多く、目標や計画を考えるより現場の業務をこなす時間が多いようです。しかし、日常業務に忙しいからと言って夢を語ることは忘れては成りません。時間を作って将来の計画を考える必要があります。そのためには、誰にでも出来る仕事を自分が行っていないか考えてみると良いでしょう。経営者は社員の仕事を行うことは可能ですが、社員は経営者の仕事は出来ないからです。短期は「朝令暮改」で構いません。中長期と直接結びつかなくて良いでしょう。しかし、将来の方向性が決まっていれば次第に近づいてくるものです。
 大きな企業では、通常、経営者が現場に入ることはありません。従って計画等は明確詳細緻密でなければ現場が都合の良いように解釈し行動する可能性があります。だから、小企業より具体的である必要があります。さらに計画を実行するためのマニュアルも作成されることも多い。小企業は現場マニュアルが無いからだめなのでなく、必要が無いから作らない場合もあるのです。あっても良いのですが・・
 山登りに例えてみましょう。大企業は冒険家のプロ集団。経験や装備など十分です。仕事の役割も分担されています。事前調査も行われ、ルートも詳細に決めてあります。そして、世間が成果を期待しています。もしも到達出来なければ失敗となり評価されません。これに対して中小企業は山登りが好きな人の小集団です。今回登る山のルートも現地で状況を見て決めます。装備等も途中で調達する場合もあります。いわゆる「泥縄」の状態です。場合によって目標とした山に到達出来ず、隣の山の山頂にたどり着くこともあります。予想外の体験が多く、それでも充実しています。
 今回述べたことに多少違和感がある人もいるでしょう。強い思い(熱意)と しっかりとした計画があり 他に負けないだけの努力を行えば、組織の規模に関わりなく目標は達成出来るはずと考える人たちです。一代で事業を立ち上げたり、急成長させることが出来る。また、支援者に恵まれることも多い。しかしながら、多くて1割以下でしょう。やはり、現状を考えた適切な努力が成功につながると思います。

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