日高税務会計事務所

いくら(いくつ)売れば良い?!

20.03.16 | 所長メルマガ

新型コロナウイルスの影響で収益が悪化している方も大勢いらっしゃるようです。大変ですが何とか乗り切って行かれることを願っています。そこで、今月は基本的なことを考えてみます。多くの皆様は自社の売上がいくらあれば利益が出るか知っいます。しかし、希に理解していない方や、社員に数字を全く公開していないため組織の大多数が利益に無関心な会社も有ります。平時はそれで良いかもしれませんが、緊急時には、社員の協力が無ければ対応が難しものです。

ある月が25万円の赤字だとします。あと25万円売上があれば良いと考える人はいないでしょう。仕入等の原価が有るからです。仮に原価率が65%とします(売上100円の仕入が65円)。必要な売上は
25万円÷(1- 0.65)= 714,285円です。必要な粗利額を粗利率で割れば、必要な売上高となります。
一般に粗利は 売上高 - 仕入原価 と考えます。小売や卸売は「売上総利益」と同じです。製造業などは 通常、原材料と外注費のみを原価とします。まれに臨時作業員の人件費を含める場合もあります。つまり売上がゼロの時ゼロになるものが原価(変動費)で、それ以外は経費(固定費)と考えます。
そうすると、会社の利益 = 粗利益 - 経費(固定費:間接原価、販売費、管理費)となります。
つまり経費を賄うだけの粗利益を生み出すのに必要な売上高が、一般に「損益分岐点売上高」と呼ばれています。 また、損益分岐点比率(%)= 損益分岐点売上高 ÷ 実際の売上高 ×100 で計算します。その意味は、損益がトントンの売上高と実際の売上高の差を比率であらわしたもの。だから100%は同じ金額の場合。もし、損益分岐点売上高400万円に対し実際の売上高が500万円ならば、損益分岐点比率は80%です。比率が100%を超えているなら赤字です。また、「安全余裕率」と言う言葉が有ります。これは今の売上高が何%減少したら利益が出なくなるかを表したものです。100% - 損益分岐点比率(%)で求められます。上例の損益分岐点比率80%では、100-80=20% です。つまり500万円の売上が20%落ちて400万円になれば利益がなくなります。「100引く損益分岐点比率」と覚えてください。
 さて、会社を運営する上で必要な売上高はいくら必要でしょうか?。役員報酬は十分だし、税金はあまり払いたくない場合。多くの会社で金融機関からの借入金があります。支払利息は経費になりますが、元金返済は利益から払う必要があります。年間の元金返済分は要ります。税金を考えればその1.5倍は必要です。(100×1.5=150。50÷150=33.33%:ほぼ実効税率)。実際には、キャッシュフロー(収支)的には減価償却費相当額は資金の余裕はありますが今回は考えないこととします。
 ところで、一般社員の協力を得るためには店舗部門ごとに必要となる数字を示す必要が有ります。ここで細かい数字の内訳は公開する必要ありません。部門の経費プラス間接部門の経費の配布を含めた総額から必要なる粗利額を計算し必要売上高を導き出します。それをスタッフが分かり安いように細分します。つまり、現場単位での月、週、日ごとの損益分岐点売上の金額、人数、個数件数等を決め達成するように指導します。数字の目標があるのと無いのでは行動が違ってきます。また、与えられたノルマを達成するのではなく、部門の赤字回避や黒字貢献に参加していると言う意識を持たせることも大事です。多く中小零細企業ではこの当りの努力が足りずに、自社には優秀な人材がいないと言います。
最低一日いくら(いくつ)売れば良いか知っているスタッフが多くいる所が強いです。

TOPへ