日高税務会計事務所

仕事の目的を再確認しよう!

20.06.15 | 所長メルマガ

  新型コロナの影響で収入が減少する企業はかなり多いようです。経済活動の制限が解除となっても、最低半年から1年以上影響があると考える経営者が大半です。また、来店型の小売店や職員訪問型の営業・サービス提供者などは、三密対策を考えると物理的に難しかったり、出来ても採算が合わないことも考えられます。順調に回復したとしても少なくとも1~2割の売上減は計算に入れておくべきですから、損益シミュレーションで赤字が予想されるなら重要な経営判断が必要となります。最悪の場合、損失が大きくなる前に、事業を終わらせることも選択肢の一つでしょう。

  お客さんが来ない、減った。お客さんが戻らない。受注した仕事が延期になった、あるいはキャンセルになった。感染が不安なためサービス等の利用の回数が減った。テレワークが増えたため必要性が減った。理由は分からないが今まであった需要が少なくなった。マスコミが不況を伝えるので財布の紐が堅くなった。・・・など悪い状況は多いようです。したがって、臨時の職員には辞めてもらう、今年の昇給は控え目に、ボーナスは不支給、特に採算の悪い店舗等は閉鎖、役員報酬は減額又は一部未払など厳しい対応が行われたりもします。 出来るだけ赤字を減らし、倒産を防ぐための経費節減(特に固定費)です。これは短期的には正しい。しかしながら、現状設備等の維持費や先行投資、福利厚生を含む広義の人件費等を減らすと、 社員のモチベーションは下がり、生産性も低下し、ミスや事故等のトラブルも増えることになる。だから、赤字事業の再建に成功したすぐれた経営者は大抵、縮小撤退と並行して、新たな収益源の開拓拡充を進めている。
 注意が必要のは、赤字の穴埋めに簡単で儲かりそうだからやるのはやめておくことだ。既に下火になったが、少し前、入手が困難な紙マスクの販売に一部の小売店が参入した。最初は儲かったかも知れないが、値崩れし、後から参入して沢山の商品を購入した業者は 原価割れで利益を生まなかっただろう。だから、自分の本業と直接関係ない分野の上手い話には乗らないことが賢明だ。
 かなり前、関与先の建設業の方が、便利な外国製の家電製品を見付け、販売を始めた。結構売れるので気をよくした社長が大量に発注。選任の社員も採用するなどしたが、同業者が増え、やがて日本の大手も同様の商品を発売するようになった。資金繰りが急速に悪化し倒産に至った。本業は地味だが確実に利益を上げていただけに残念でならない。
 事業をされている方の中には、自分の才能技術から生み出される商品等を提供しお客様に喜んで貰うことに、生きがいを感じている経営者がいる。今回のコロナの影響で事業活動を継続するのが難しいケースも有る。だからと言って長年やってきたビジネスを変えるのには抵抗があるだろう。このような方に考えて欲しいのは、「自分の仕事の目的は何か?」ということだ。
 多くが「○○(商品サービス等)を通じて、お客様等に便益を提供する。満足を提供する。不安を解消する。不便を解消する。 」などを 理念等に明文化していなくても考えている(存在している)。 大抵、お客様のプラスの増大あるいは マイナスの軽減どちらかである。
 この場合の ○○ をブレインストーミングでやるように より広く考えることによって、いまでやっていた業務から関連する分野に展開しやすくなる。また、後半のアンダーラインの部分に注目すれば、お客様等に同様の価値を提供するには ○○にだけにとらわれる無くて良いと考えることが出来る。他の方法手段でも目的が達成できるかも知れないと。仕事の真の目的を達成するために、現在の事業活動形態から 多少変わっても悪くないだろう。うまく行くかは、やってみなければ分からない。試行錯誤で対応すればよい。目的が一緒なら後は行動あるのみ。目的がぶれない経営は強い。

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