生きがいラボ株式会社

ノーレイティングが生まれた背景とは?

20.09.24 | 人事制度【ノーレイティング】

アメリカのグローバル企業において、

「社員さんに点数をつけない」
「社員さんをランクづけしない」

という従来型人事制度とはまったく違うコンセプトの『ノーレイティング』という人事制度が生まれた理由は何だったのでしょうか?

今回は、ノーレイティングが生まれた背景について解説していきます。

ノーレイティングが生まれた背景とは?

アメリカのグローバル企業がノーレイティングに舵を切った理由は、組織・個人のパフォーマンス(業績・成果)を高めるために、 

「内発的動機づけが必要不可欠になった」 

ということが挙げられます。 

内発的動機づけとは、仕事をする理由が「楽しい」「おもしろい」「やりがいがある」というように、仕事そのものが動機になっているということです。 

このことをフロー理論のミハイ・チクセントミハイ氏は「自己目的的」と呼んでいますが、何か別の目的(報酬)のために仕事をしている状態ではなく、仕事そのものが(心の)報酬になっていることをいいます。 

内発的動機づけの逆が「外発的動機づけ」ですが、言葉の通り、外からの刺激(アメとムチ)で人を動かそうということです。 

従来型人事制度は、給与額やその根拠とされる評価点によって、組織成員を思う通りに動かそうという構造ですが、心理学や脳科学の研究によって、それではパフォーマンスが高まらないことが明らかになりました。 

高まらないどころか、逆効果であることが分かってきたのです。 

外発的動機づけによる従来型人事制度は、効果が低いだけではなく弊害さえあることが分かってきたので、内発的動機づけを喚起するためにノーレイティングが考えられました。 

つまり、ノーレイティングは、従来型人事制度の延長線上のコンセプトではなく、まったく逆のコンセプトに基づいています。 

内発的動機づけが必要な理由とは?

次に、内発的動機づけが必要になった大きな理由として、 

「創造性を発揮しなければならない仕事が増えた」 

ということがあります。 

このことはずいぶん前から言われていたことですが、成熟した経済のもとでは、成果をつくるには創意工夫が必要です。 

創造性主体性情熱がなければ、よい結果を出し続けることが難しくなりました。 

言い換えると、「仕事をやらされている」という意識では、これからの社会では良い仕事はできないのです。 

やらされ感で仕事をしていると、どうしても意識が現状維持になり、そこに創意工夫するという意欲が湧いてきません。 

もっとひどいケースでいうと、「いかに怠けようか?」「いかにごまかそうか?」という意識が働いてしまうこともあります。 

それは、組織側だけではなく、社員さんの職業人生を長い目でみれば、社員さんご自身にとっても望ましい状態ではありません。 

このような背景があり、従来型人事制度とはまったく違うコンセプトの「ノーレイティング」が生まれたのです。 


私は、この「ノーレイティング」という人事制度は、組織や個人のパフォーマンスの向上ということだけではなく、もっと大きな社会的意義があると思っています。 

次回は、ノーレイティングの社会的な意義について解説したいと思います。

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