日高税務会計事務所

伝わらないのは伝えた方が悪い!

21.01.18 | 所長メルマガ

一流の組織と二流以下の組織では、決まり事の徹底や大事な情報の伝達に大きな差があります。お客様第一を理念にうたっている会社でも、本音は自社(部署や個人)の売上目標や利益が第一だったりします。整理整頓もレベルの差が出てきます。それらは人の行動によって結果が生じるので、人の資質と教育研修の差であるとすれば、中小零細企業などは不利と思われます。

ところで、リーダーが変わっただけで業績が大きく向上する部署や、ある事件がきっかけでモチベーションが上がり飛躍したスポーツチームなどの話もあります。組織の構成員は変わらず、目標・方針や指示・指導や担当業務や練習は一緒か少し変わって位ですが、成果は激変したそうです。
 成果を上げる組織は、やるべきことのベクトルが一致しているようです。しかしながら、それを合わせるのは大変難しい。なぜなら、目標や指示は人によって解釈が違ってくるからです。日常使う言葉も定義は人それぞれ微妙に違います。共通認識や基礎知識が無いと内容が理解できないこともある。また、言葉にするのは難しく、体験が全てだと言う場合もあるでしょう。聞いた時にはなんとなく解ったような気に成っただけと言う場合もある。聞き手は重要性が高くないと思えば聞き流してしまうこともある。だから、リーダーが部下等に対しての業務上の指示等は一律でなく、相手のレベル等を考慮し、解りやすい言葉で、相手の理解を確認しながら、手段や方法を選びながら行うこと。特に重要な事項は、何故重要なのかを十分理解させ複数回、複数の手段を用いて行うこと。習慣化が必要な事項もマンネリ化しないように工夫し繰り返すこと。単純に繰り返せば効果が薄れるからです。
 理論上、こちら側が伝えたこと、指示したことが伝わらない原因は双方にあります。しかし、現実的には伝わらない相手が悪いのでは無く、伝えた方が悪い。その理由は、組織内で相手の行動を促す(変える)ものや情報を伝える場合の主導権は伝える側にあるからです。例えば自動車と歩行者あるいは専門家と素人の責任が平等でないのと同様です。
 そして、相手がこちらが求めたように行動しない場合は失敗と言えます。重要性が理解できていないか納得出来ていないからでしょう。世の中には嫌いな人の言うことは聞きたくないと言う人がいる。また、同じ物でも遠くても気に入った店で買う人もいる。しかし、自分の安全や損得に重大な影響があれば当然、例外となる。組織内で相手が解っていても行動しない場合はなめられているからかも知れない。相手の立場や感情を十分考慮し摩擦の起こらないよう言葉を選び説得に当たろう。
 ところで、部下が経過や結果の報告をしないと嘆く人がいる。これも報告が無ければ求めれば良いだけのこと。下位の者は一般に良い結果を除いて積極的報告したくないもの。結果について、数値での報告は客観的で良いと言われるが、数字合わせの調整などが行われる場合もあるので注意が必要。
 結論として、言われたことが守られないのは、正しく伝わっていないから。伝える側の責任です。そして、それが守られないのは、守らせる熱意と本気度が足りないからです。
 あと、繰り返し言わなくても「忘れない、続けられる、守らせる」ための仕組みも大切です。良い組織は伝統的にみんなで協力し自発的にその仕組みが出来ますが、そうでなければ最初は上から作る必要があるでしょう。その後は指示して作らせる。そして、任せるようになれば良いでしょう。

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