税理士法人SKC

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SDGs

21.04.28 | 堺俊治の独り言的情報

最近、流行りもののように頻繁に報道され始めているSDGsですが、サスティナブル・デベロップメント・ゴールズの略で「持続可能な開発目標」と訳されているようです。この考え方は、人口増と工業投資が右肩上がりで成長を続けると、地球の天然資源は枯渇し、環境汚染は許容範囲を超えることになり、100年以内に成長は限界点に達するという1972年の『成長の限界―ローマ・クラブ「人類の危機」レポート』に端を発しているようです。

 その後1984年に国連が設立した「環境と開発に関する世界委員会(ブルントラント委員会)」が、『地球の未来を守るために(Our Common Future)』という報告書をまとめ、持続可能な発展(Sustainable development)が、人類の課題であるとして取り上げました。1992年になって、「地球サミット(環境と開発に関する国際連合会議)」で、21世紀に向けた持続可能な開発のための人類の行動計画「アジェンダ21」が採択され、「持続可能な発展」のための具体策が決められたようです。2000年になって、開催された「国連ミレニアム・サミット」で、貧困と飢餓の撲滅を始めとする8つの目標を掲げた「ミレニアム開発目標(MDGs)」が採択されています。このMDGsは開発分野における国際社会共通の枠組みとして用いられ、一定の成果を上げたといわれ、達成期限の2015年までの15年間で、開発途上国の1日1ドル25セント未満で暮らす人々の人口比が、47%から14%に減るなど具体的な数値によって、グローバルな目標の設定により数百万人を貧困から救出できることを証明したとされています。その後、新たな国連の目標としてSDGsが2015年9月の国連サミットで採択されました。すなわちSDGsとは国連加盟193か国が2016年から2030年の15年間で達成するために掲げた目標です。
 このSDGsはそれまでの国家主体のMDGsとは違って、民間企業も取り込んで実行していく仕組みが大きく変わってきたところのようです。
 17のゴールの内、自然環境の問題、差別の問題、貧困の問題などありますが、これらの課題は、これまでの人間の歴史を見れば、すべて西欧文明がもたらした弊害といえるのではないでしょうか。米国では2%の富裕層が80%の富を独占していると言われていますが、世界に広げてみると白人の1%未満の富裕層が世界の富を独占してきた、のではないでしょうか。世界中を侵略して富を収奪し、有色人種を奴隷として富を独占してきたのは西欧諸国に米国ではなかったでしょうか。その結果、貧富の格差は莫大に開き、人種差別は広がり、ジェノサイドは続き、環境破壊が続いています。
 日本には、神代の昔から富の独占や奴隷制度はなく、天皇の下に民は皆平等とされてきました。そして持続可能な社会のために「もったいない」という言葉を生み、自然を破壊し我が為に利用するのではなく、いかに自然と共生するかという課題で生きてきたのが日本人ではなかったでしょうか。
 第1次世界大戦後の国際同盟の憲章を策定する討議の中で、「民族の差別を無くす」という一項を加えるという動議をして拒絶された国も日本でした。台湾、朝鮮、満州と統治を拡大しましたが、西欧諸国に様に収奪や奴隷化をするのではなく、その地の繁栄のために莫大な投資をしたのが日本人です。
 SDGsの目標は、グローバルに活動する企業や、地域社会に影響力の大きな企業には重要なテーマだと思います。しかし大企業、中小企業といわず、このテーマはかつての日本人には当たり前のことだったのではなかったでしょうか。私たち日本人には、「もったいない」「足るを知る」などという言葉を生み出す精神性があります。
 世界を支配してきた数%の西欧富裕層が、その資産でSDGsがいう貧困や飢餓からどれだけの人を救えることでしょうか。しかし彼らは、わが身の将来のために、世界の人口は半分以上削減しなければならないと思っているとの話、これは本当のことかも知れません。

 

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