日高税務会計事務所

会社トップの営業・商品開発が重要!?

21.08.16 | 所長メルマガ

中小零細企業の創業者の多くは、営業もしくは商品開発等が得意であり、やむを得ない事情または野心で、事業を始めたことと思われます。そして、社長自らが営業または商品開発等の第一線に立ち、会社を発展させてきたことでしょう。そして、社長がプレイングマネージャーを続ける場合が多い。理由として営業や商品開発等に関して社員の誰よりも優れているからです。

しかし、事業が成長し組織が大きくなると社長の考えや指示が末端にまで伝わり難くなります。そうなると社長は管理職を通じ経営管理を行う必要が生じます。管理職は社長の分身として活躍してもらわないといけません。だから、社長一人で組織が直接把握出来る状況ならば、中間管理職をむやみに増やす必要は無いでしょう。そして社長は徐々に本来社長しか出来ない業務に重点を移していく必要があります。営業や商品開発等出身者であっても、営業や商品開発等は部下や後継者に任せます。自分が会社でナンバーワンであったとしてもです。そうしないと社員等はいつまでも社長を頼って成長しないからです。誰でも自分の得意なことをやるのは楽しいでしょう。しかし、事業がある程度成功し、社員を雇い、また、仕入先やお客様の存在を無視出来ない状況ならば、会社全般の管理運営と将来に向けた準備が必要となります。どんなに優秀な社員でも会社全般や会社の未来を社長ほど考えていないものです。やはり自分のことが第一でしょう。社長が会社のことを一番考える人で無いならば、社長の座は他に譲るべきでしょう。
 大企業は分業化が中小零細企業より徹底しています。中間管理職として成果を上げれば経営陣に加われる可能性もあります。また、技術専門職として活躍出来る道もあります。社長は社長本来の仕事に専念できます。また、そうしないといけないでしょう。ところが、業績が上がり成長した中小企業がこれを真似することは危険です。社長が社長室に籠もって、経理や管理職等から上がってくる情報のみを頼っては経営を危うくします。社長専門の経営コンサルタントの故一倉定氏は「穴熊社長」であることを戒めてあり、中小企業の社長は営業や製造等の現場に出ることを奨励してあったそうです。(一倉定氏の著書等は高額なものが多いですが、昨年日経BP社から復刻版が二冊出版されています。価格は通常のビジネス書程度です)ここで、間違えてはいけないことは、社長が現場に出る目的です。営業や商品開発の第一線に戻ることではありません。(場合によってはそれが必要かも知れませんが)。それでは現場は嫌がり、混乱を招きます。営業で得意先を訪問するのは注文を取るためでは無く、挨拶がてら、自社の営業社員の働きぶりを知ることや、直接上がってこないクレームや新商品開発のヒントをつかむためなどです。また、異業種交流や新規訪問などは、新市場や商品開発のためのリサーチのために行うものです。社内の抜き打ちの現場視察等は報告と実際の確認のためです。都合の悪い情報は中々上がってこないもの。だから積極的に取りに行く。また、管理職と末端の現場では意識や目線が違うのが当然。以前、ある不動産管理業の社長さんから聞いた話ですが、そこでは入居者入れ替わりのリフォーム工事を複数の業者を通じてさせるそうです。そこで後に業務を行った業者に前の作業者の仕事の状況をそれとなく聞いて把握する。そうすれば、いちいち確認に行かなくて良いとのこと。なるほど、それは合理的な話だと思いましたが、よく考えれば手抜きです。問題が生じた場合の責任は不動産管理会社が負わなければなりません。もし、業者同士が親しかったとすれば、チェックが緩くなる可能性もあります。百聞は一見にしかずです。
   当然、営業や商品開発等の積極的な後方支援は社長の重要な仕事でもあります。社長が何としてでも達成させたいと思わなければ、成果は上がらないものです。最終責任は社長だからです。

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