日高税務会計事務所

どちらかでは無く、どちらも!?

21.10.15 | 所長メルマガ

経営上の改善点などアドバイスを求められることがある。気になるところが多くても、一度に対処するのは難しいので数点に絞って答えることが多い。そのどれもが重要であるはずだが、その内どれを一番最初に手を付けるべきか問われることもたまにある。つまり、余裕が無いので一つにして欲しいと言われる。同時に複数のことに注意を払うのは大変だからが理由だろう。

スポーツでは、野球のように攻守がきちんと分かれているものもある。しかし、サッカーのように、一定の時間内の得点の多さや、先に決められた得点に早く達した方が勝ちのものが主流である。事業経営も同様だろう。ところで、経営改善の二大重点要素は、①売上(粗利益)を増やすこと ②原価及び経費を出来るだけ抑えること(無駄を少なくし、効率・効果を上げることに貢献する支出を行う)である。 これはどちらか一方だけに取り組めば良いものでは無い。両方に対して行う必要がある。しかし、多くの会社は遣り易いものから取り組む場合が多い。一般に①の売上はお客様や競合がいることから、②の内の必要経費の削減から始める。しかしながら、大手と異なり中小零細企業は本来無駄な支出は少ない。たとえ交際費等が多くてもそれは売上を作るため本来必要なものだったりする。だから、金額が大きいものから削減することや、あるいは一律○%削減とか無理である。また、人件費は元々適正水準以下であり、これも削減どころか増やしたくても余裕が無いぐらい。もし下げれば優秀な社員から辞めていく。このように経費の削減は大変難しい。だからこそ、①の売上(粗利益)を増やす方に力を入れるべきだろう。
 理論的には、固定費が少なく粗利益率が高い会社は、売上を増やすこと、もしくは品質に影響を及ぼさない範囲で原価を下げるのが良いと言われる。つまり、企業の収益構造によって優先順位が変わることを意識して対応を行うのが望ましい。
 ところで、経費の内、家賃や金利は変更が難しいと思われているが、コロナ過では交渉により有利な変更が可能な場合もあるそうです。ダメもとで試してみませんか。
 企業を取り巻く環境を考えると ①外部環境(現在および将来のお客様、仕入外注先、銀行等、競合他社、株主、国や自治体ほか)と ②内部環境(システム、組織や管理など)がある。 これを全て同時に対処するのは困難。だから優先順位を意識すること。優先順位の高い重要な課題を解決したら、小さな問題は消失したと言う話は良く聞くものである。但し問題は、現在取り組んでいるもの以外も次々発生するし、場合によっては、新しい問題の方が緊急かつ重要で、対処の順番を変更せざるを得ない場合もある。
 問題(課題)の対処法は、3通りの状況を考えるのが良いと聞いたことがある。「松・竹・梅」である。つまり、①最良の対処方法。全てが理想の状況で進む。100点満点あるいはそれ以上。ただし余裕が無いと無理なもの。②通常の対処方法。可も不可も無い状況。70~80点。③最低限の不具合やリスク回避の状態。50点程度。こうした3点が用意できていれば、状況に応じ現在の対処問題を「梅」で終わらせ、緊急の課題に素早く取り組むことが出来る。これは他の目標管理などでも使える。例えば、会社の売上目標で、社内の公表は「竹」、狙う挑戦目標は「松」のもの、そして、予期せぬ出来事で最悪の場合は「梅」を目指すなど。
 「二兎追うものは一兎をも得ず」、これは新たなプラスを狙う場合に当てはまる。 しかし、マイナスの回避(リスク対策、改善、改革)等の場合は、必要に応じ全てが対象となる。ただし、一度に出来ることは限られるので優先順位を決めて対処すること。決して、問題意識の外に置いてはならないものである。

TOPへ