響き税理士法人

響き税理士法人
  • HOME
  • 【税務】
  • 法人として行なった寄附は損金算入できる? 寄附金の種類によって異なる寄附税制

法人として行なった寄附は損金算入できる? 寄附金の種類によって異なる寄附税制

21.12.29 | 【税務】

法人が特定の法人や自治体などに寄附を行った場合、一定の条件を満たすことで、損金算入することができます。これを『寄附税制』といいます。今回は、うまく活用すれば法人税の節税にもなる寄附税制の基本について解説します。

【法人の寄附税制は種類によって損金算入限度額が異なる】
法人が寄附税制を受けられる寄附金には、大きく分けて5つの区分があります。

●国・地方公共団体に対する寄附金
 公立高校や公立図書館など、国や地方公共団体に対して寄附を行った場合、全額が損金計上できます。
●指定寄附金
 指定寄附金とは、財務大臣が指定した寄附金のことで、公益の増進に寄与し、緊急を要する特定の事業に充てられるものを指します。
 たとえば、赤い羽根共同基金や学校法人の教育研究などに対する寄附金がこれに該当します。
 指定寄附金も、国・地方公共団体に対する寄附金と同じく全額を損金算入できます。
●特定公益増進法人に対する寄付金
 教育または科学の振興、文化の向上、社会福祉への貢献など公益の増進に著しく寄与すると認められた一定の公益法人等に対する寄附金のことを指します。
 たとえば、独立行政法人や社会福祉法人、公益財団法人などです。
 損金算入するには、条件として『法人の主たる目的である業務に関連するもの』であることが求められます。
 損金算入額は、【(期末資本金等の額×当期の月数/12×0.375%+当期の所得金額×6.25%)× 1/2】を限度とします。
●認定NPO法人等に対する寄附金
 認定NPO法人等に対するもので、特定非営利活動に係る事業に関連する寄附金のことを指します。
 損金算入は特定公益増進法人に含めて計算します。
●一般寄附金
 一般的な寄附金については、【(期末資本金等の額×当期の月数/12×0.25%)+当期の所得金額×2.5%)×1/4】を限度に損金計上できることになっています。


【寄附金を損金算入するなら損金計上日に注意しよう】
 寄附税制を活用し、損金算入するためには、確定申告を行わなければなりません。
確定申告書に損金算入する金額を記載したうえで、寄附金の明細書など必要な書類を添付して申告を行います。
会計上の手続きで問題になるのが寄附金の損金算入のタイミングですが、原則として、支払い日に損金計上を行います。
寄附金を振り込んだ場合は振り込んだ日付で損金計上し、金銭ではなく不動産などの資産を寄附したときには、その資産を引き渡した日が損金計上のタイミングとなります。
決算時や税務調査時などに困らないよう、寄附を行ったときには、支払い日が確認できる書類を保管しておきましょう。
また、事業年度をまたいで損金計上することはできません。
そのため、決算日に近い時期の寄附は、損金計上日がいつになるか注意が必要です。

寄附税制のほかに、地方公共団体が行なう地方創生の取り組みに対して、寄附をした企業が税額控除を受けられる『企業版ふるさと納税(地方創生応援税制)』という制度もあります。
現時点では、2024年度まで実施されることが決まっています。
企業版ふるさと納税を行えば、寄附額の最大約9割の法人関係税が軽減されます。
ただ、注意点としては、青色申告をしておく必要があること、本社が所在する地方公共団体への寄附は対象外であるほか、地方公共団体によっては対象外のところもあるため、事前に制度を確認しておくことが大切です。

寄附金は損金算入できますが、その内容によって損金算入限度額が異なります。
寄附を検討する場合には、寄附と税金の関係についてよく知っておきましょう。

TOPへ