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期限を守らなければ課税の対象に!源泉所得税納付におけるペナルティー

22.04.14 | 【税務】

従業員に給与を支払っている法人では、毎月従業員から源泉所得税を徴収しています。
源泉所得税は最終的に国に納付するもので、法定納期限までに納付しないと、『不納付加算税』や『延滞税』、悪質な場合は『重課税』といったペナルティーが科されることがあります。

【原則、所得税の1割課税される不納付加算税とは】

従業員に月々の給与を支払ったり、外注委託して外注費を支払ったりする場合、発注元である法人が従業員や外注先から源泉所得税を預かり、それを国に納付します。
基本的に、納付は給与などを実際に支払った月の翌月の10日までに行うことと決まっていて(給与については、特例の承認申請をすることで6カ月に1回の納付(7月と1月)にできることもある)、翌月の10日までに納付ができなかった場合、『不納付加算税』というペナルティーが科せられます。
税金のペナルティーといえば、無申告加算税を思い浮かべる人も多いかもしれません。
しかし、無申告加算税は、法人税の申告や消費税の申告、相続税の申告などを申告期限までにしなかったときに課される税金のため、それとは異なります。
では、法律で定められている納付期限を過ぎて源泉所得税を納付したとき、不納付加算税はどれくらい課税されるのでしょうか?
この点、課税割合は10%となっており、納付するべき源泉所得税の1割がペナルティーとして加算されることになります。
ただ、期限を過ぎたら絶対に不納付加算税が課税されるのかというとそうではなく、不納付加算税が不適用になったり、割合が10%から5%に軽減されたりするケースもあります。

<不納付加算税が不適用になるケース>
●正当な理由がある場合
●法定納期限から1カ月以内にされた一定の期限後の納付の場合
●過去1年間に期限後納付がない場合
●不納付加算税が5,000円未満の場合
<課税割合が5%に軽減されるケース>
●納税の告知を予知しない法定納期限後の納付の場合(税務署から指摘や催促を受ける前に自主的に納付した場合など)


【納期限の翌日からかかる『延滞税』、悪質な場合にかかる『重課税』】

このように、期限内に申告しないとペナルティーが科せられる源泉所得税ですが、実は不納付加算税のほかにも課税される可能性のある税金があります。
それが、納期限までに納付されなかった税金に対してかかってくる『延滞税』で、原則として、納期限の翌日からかかり始めます。
延滞税の計算式は以下の通りです。

<納期限の翌日から2カ月を経過する日まで>
原則として年7.3%ですが、令和3年1月1日以後の期間は、年7.3%と【延滞税特例基準割合+1%】のいずれか低い割合が課税されます。
具体的な割合としては、令和3年1月1日から令和3年12月31日までの期間は、年2.5%

<2カ月を経過した日以後>
原則として年14.6%ですが、令和3年1月1日以後の期間は、年14.6%と【延滞税特例基準割合+7.3%】のいずれか低い割合が課税されます。
具体的な割合としては、令和3年1月1日から令和3年12月31日までの期間は、年8.8%

さらに、事実を隠蔽・仮装して源泉所得税を納付しないなど悪質な場合には、『重加算税』が課税されることがあります。
重加算税が課税されるケースとして、次のものが考えられます。

●二重帳簿を作成している
●帳簿書類を破棄したり隠蔽したりしている
●相手方と通謀して虚偽の書類を作成している
●帳簿書類に記録せずに源泉徴収の対象となる別の支払をおこない、支払の事実を隠蔽している

帳簿を付ける際、源泉徴収税は一般的に『預かり金』などとして計上します。
従業員や取引先から預かっているお金だからです。
しかし、不納付加算税は預かり金ではありません。
経理処理の際には、勘定科目を預かり金ではなく『租税公課』とする必要があります。
なお、法人税等の計算にあたって、他の加算税、延滞税と同様に不納付加算税は損金算入することはできませんので、ご注意ください。
源泉所得税は正しく処理し、納付期限を守って申告しましょう。

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