日高税務会計事務所

基本基礎をしっかり固めるのが優先!?

22.05.17 | 所長メルマガ

新人の教育で手を焼いている方は多いようです。慢性的な人手不足のためか、企業が採りたい人がすぐに見つからない。そこで、即戦力の期待ができない未経験者等の採用が多くなる。もちろん教育の効果はすぐに現れない。悪いことを強めに注意しただけで辞める者もいる。それでも教育訓練は必要だ。以前より学歴の善し悪しについて言われることは少なくなっている。それでも、上場会社社長経験者が、一流大学出身者に優秀な社員に育つ者が多いと発言したりもする。そんな訳で中小零細企業に素質と意欲がある優秀な人材が入社する可能性は極めて低いと言える。

企業での教育は学校と違い、個人別対応が原則だろう。大抵少人数だし、個々人のビジネス上のスキルの差は大きい。それでも、必要な技能知識等は習得してもらわなければならない。自分から積極的に学ぼうとする人は少ない。むしろ要注意かもしれない。早く仕事を覚えて、将来独立したい野心を持っている可能性があるからだ。もちろん、将来の希望等をお互い理解した上で勤めてもらう分には問題は無い。
 ところで、「2・6・2の法則」 など聞いたことがあるかもしれない。昆虫や動物の観察から導き出されたもので、集団の内上位2割のものが組織に有用な活動に積極的に参加する。中間の6割は、それなりに活動を行う。これに対し下位の2割は、全く活動しない(休んでいる、またはサボっている)。不思議なことに、上位2割グループだけで集団を作っても、その中で2・6・2の分離が生じるし、下位2割だけで集団を作っても2・6・2のグループが生じるらしい。もちろん人間の組織でも同様のことが観察されている。ただし、上位2割は多すぎるとの意見もある(5~10%が妥当)。上位者は、仕事や勉強のアウトラインを示すだけで行動にうつす。特に育てなくても勝手に育つようだ。
 教育の中心は中位6割グループだろう。「やってみせ 言って聞かせて させてみて 誉めてやらねば人は動かじ」の言葉が有名だが、積極的に関わらないと成長は遅くなる。自主性に任せてはいけない。また、表題にあるとおり基本基礎が大事だ。スポーツなどある程度上達するためには繰り返し基本フォームを練習する。フォームが一定しないと良い結果が出せない。また、悪いクセが付いてしまったら直すのに大変な努力が必要となる。基礎が不十分では応用が上手くいかない。国内外の悪徳建設業が手抜き工事等を行い、建物が傾いたり、崩落する話をたまに聞く。基本や基礎、決まり事をいい加減にした結果だろう。基本基礎は大切である。昔から特に職人の世界では修行に時間を掛けることが当たり前とされた。ところが、最近、そのような指導法が流行らない。やりたいことをやらしてもらえ無いので辞めてしまう人が多いとか。そこで、基礎のトレーニングと並行して独自の応用研修の場を設けているところもあるようだ。
 さて、一番問題は下位2割だ。手間が掛かり、ほったらかすと落ちこぼれる。それだけなら良いが、会社に対しての不平不満をまき散らし、中位者のモチベーションを下げる結果になることは避けなければならない。まず、勝手に応用的な仕事をさせないこと。基本基礎に則ったマニュアル等で徹底させる。外資系のファーストフード店などが参考になる。最低限が出来るまで徹底的に訓練する。良いサービスなど考える前に悪いサービス(仕事)をさせないこと。仕事がきちんと出来るようななり興味が出てくれば下位グループから抜けれるかもしれない。
 基本基礎が徹底的出来なければ応用無理。だから、良い仕事をするためには基本基礎が重要。仕事にはそれなりの目的がある。利益、効率、効果などは、目的の達成の結果やその手段にすぎない。

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