日高税務会計事務所

PDCAサイクルを回していますか!

22.07.15 | 所長メルマガ

   経営に関する用語で「PDCA」を知っている人は多い。しかし、現実に中小零細企業ではPDCAサイクルが良く回っている会社は滅多に無いように思える。元々、製造の品質管理から提唱されたようで、販売やサービス業には精神論的?であり、ウチの事務所でも出来ていない。

Plan(計画)、Do(実行)、Check(測定・評価)、Action(対策・改善)の仮説・検証型のプロセスを循環させ、経営の品質を高めようとする概念である。だから、継続することにより徐々にレベルが上がるもの。途中でやめてしまってはあまり効果が無い。また、現状維持で良いなら、必要性も低いだろう。
 仕事を行う上でPDCAは意識しているか否かに関わらず存在するもの。しかしながら、意識しなければPDCAサイクルは回らない。一般に仕事は次のステップで進むと考えることが出来る。
(1)D(作業・実行)のみ。 P(計画)が最初に来るはずだとお叱りを受けるかも知れないが、現実はD(実行)が全てという中小零細企業も一定数いる。下請け等で、ノルマが有り、製造等の手順もマニュアル化していて、改善の余地無し、ひたすら作業をし、何とか目標数量達成を目指すのみなど。
(2)P→D 自社で製造や販売を主体的に計画し実行する段階。ニンジンをぶら下げないと馬は走らないとの考えで、少し高めの目標を設定し挑戦させる。私は以前、ある社員研修に参加し、グループ別対抗の長距離徒歩で、適当に決めた目標時間に届きそうと知り、グループ全員が熱い行動を共にした経験がある。品質を考えないで良い組織や新人ばかりの組織ではこれでも良いかもしれない。
(3)P→D→C 計画を立て、実行し、反省を行う。毎週あるいは毎月ごとに行われる会議などで報告されることが多いだろう。多くの組織はここまでやっている。問題はC(測定・評価)が次のA(対策・改善)に繋がるものになっていない場合が多いということ。出来なかった理由や言い訳ばかりだったり、同僚や上長の評価を気にして、懺悔したり、謙虚さをアピールする反省が述べられたりもする。対策等は精神論だったり、抽象的で何を実行するか見えてこない場合もある。これでは、会議は単なる儀式である。だから、経営の品質は現状維持であり、以前と同様の反省・対策が採られ、ほとんど進歩が無い(遅い)。
(4)P→D→C→A ここまでの段階でやっとPDCAサイクルが完成する。A(対策・改善)は実行可能な具体的なもので無くてはならない。例えば、訪問回数を増やすでは無く、何件増加など数値等で把握出来る対策でなければならない。また、A(対策・改善)は一定期間継続して行い成果が良ければ標準化し、ダメなら別の対策に変更すること。さらに、A(対策・改善)に対しての責任者を置くのも重要。業務に関して新しいことに挑戦するのが好きな人は少数派であるからだ。結果がはっきり分かるまで続けるのはエネルギーがいる。また、ベテランは自分のやり方が一番合っている(現時点で合理的)と思っている。だからこそ、責任者がいることが望ましい。
 仕事ができる人は、無意識にPDCAサイクルを高速で回していると思われる。しかし、組織においては考えや価値観の異なる人も大勢いる。これらの人も巻き込んでPDCAサイクルを回さなければならない。もっとも、三人寄れば文殊の知恵と言う言葉もあり、一旦サイクルが回り出したら面白いほど成長できるかも知れない。多くの組織は言葉としてPDCAサイクルを知っていても、本格的にサイクルを回しているところは少ない。だからこそ、本気でやってみる価値がある。

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