日高税務会計事務所

ゴールや目標は間違いありませんか!

22.08.11 | 所長メルマガ

   ある会社の新人の話ですが、彼は新しい仕事に挑戦するとき、方法手段等を決定するのに多くの時間を費やし、実行した後は気を抜くことが多いので、起こったミスやトラブルでよく叱られているとか。彼の意識にあるのは、なるべく合理的な方法で、とりあえず実行することなのだろう。また、正しいと思われるやり方で行えば、ミスが少ないと考えているかも知れない。

   実際にやってみると、多くの場合不具合が生じる。難しい問題や課題では、むしろスムーズに行くことが奇跡である。それを改善や調整して最終的に完了(完成)させるのが、プロの仕事のやり方だろう。おそらく新人の彼は、言われた仕事を実行することがゴールと捉えているように思われる。そうすると、失敗しないように完璧に準備を行うことを考える。しかし、知っている事と出来ることは違うのであるから苦労する。やっとの思いでやり上げても、プラスの評価は難しいだろう。ダメな理由は、ゴールの設定が間違っているからだ。ミス無く仕事を実行することは、学校の試験で言えば赤点を取らないレベルだろう。学生であれば、「可」であっても無事卒業できる。しかし、プロとして仕事に就いたならば、ほとんど出世できないか、リストラの対象になるかも知れない。もし、「優」を狙うならば、上司やお客様に喜んでもらえたり、自身が満足出来る品質の商品サービスを提供できたことをゴールとすべきだろう。
 営業の世界ではゴール設定の違いが大きな成果の違いとなってくる。普通の営業では、商品やサービスを売ることがゴールと考える。だから、売れればそれで良しとなる。住宅や保険などの高額商品を購入した人の不満に、契約後、営業担当者が疎遠となることがある。営業としては、次の顧客を獲得することの優先順位が高いため、そうした行動は致し方ないのかもしれない。しかしながら、優秀な営業はゴールが違う。「リピートして頂くこと」、あるいは「紹介をもらうこと」をゴールに設定している。そうすると契約(購買)は通過点に過ぎないと考え、次の手を考えまめに行動する。しかも、ライバルの多くは契約後に退場するので目立つし、かなりの良い成果を得ることができるようだ。極端な例として、墓石を販売するある石材店が顧客のフォローやコミュニティづくりに力を入れたところ、紹介で経営が成り立ち繁盛しているとか。ちなみに墓石の購入間隔は平均70年で、一度購入したお客様が再度購入することはまず無いそうです。しかし、やり方によってはこのような営業が難しい業種でも繁栄できるようです。
 お客様はもちろんのこと、仕事仲間にもプラスアルファの便益を与えることは、少し大変かもしれませんが重要なことです。相手に満足以上の成果を届けることは決して無駄ではありません。複利の金利が将来大きな差となって利益をもたらすことと同じです。お客様が営業代理人となってお客様を連れてきます。また、同僚の協力が得やすくなります。自然界でもそうですが周りにより多くの便益をもたらすものは大切にされます。だから自己中なゴールや目標は、良くありません。見直すべきです。
 賃金や役職についてダメな人は、十分な賃金をもらい役職につけてくれたら勉強し頑張るようなことを言いますが、経営側では昇級できるだけの力に達したから役職につけるものです。だから一ランク以上の上を常に目指すべきでしょう。適切な目標やゴールが成長を促すのです。
 ところで、「ゴールポストを移動させるのは悪い」と言われますが、これは正当に競争している相手がいる場合です。自分自身は、成長とともにゴールを変えても構いません。むしろ変えるべきです。成長期に衣服のサイズや飲食の量や質が変わるのと同様です。よりレベルの高いゴールを目指し努力を行い、複利の利益を享受しましょう。
 もし、職場の新人等で対象となるような人がいたならば、先輩方は適切なアドバイスを行いましょう。

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