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優先順位が高くなければ、やらなくても良いと言うわけでない!

22.09.15 | 所長メルマガ

個人が夢や目標を追って行く場合、一般に1つあるいは少数に絞って行うのが良いとされる。これは、時間が有限であること、体力や資金等の制限があることが理由となる。 また、事業経営に当たっても、社運をかけて行うような大きな計画や目標は同様に、やることを具体的に絞り込んで、経営資源を集中して取り込むのが正しいとされる。

勘違いして困るのが、現場仕事のルーチンワークに対してである。一般に業務は細かい作業等の積み重ねで成り立つ。製造では、1つの小さな不良部品で製品すべてを無価値にすることがある。また、滅多に起こらないからと、安全確認等を怠ると重大な事故やトラブルを引き起こすことがある。もちろん、人間の行うことだから多少のミスは発生する。けれど、ヒヤリハットを減らす努力や二重三重のトラブル防止策などにより最小限の品質は担保出来なければならない。お客様が当然期待する商品やサービス等を提供するのがプロだからだ。出来るかどうかやってみないと分からないでは、誰もお金は払ってくれない。また、仕事は99%順調に進んでいても、最後の1つのミスで全てが台無しになることもある。だから基本、やるべきことは全てやることが正しい。手抜きすることは大変危険で命取りとなることも多いだろう。
 一昔前、日本の製品の品質は諸外国に誇れるほど高かった。しかし近年、産地偽装、品質データの改ざん、点検等の省略など様々な信頼を失う事件が多数報告されています。しかし、実際の大きな事故等に繋がるものは比較的少ないことが、せめての救いと言えるかもしれません。
 生産性・付加価値を上げることや効率を重視することが背景にあるかもしれません。資源や努力は最小限で成果は最大になるのが良いと言う考え方です。これはこれで間違いないのですが、拡大解釈すると、「素人に分からないのならば少しの嘘やごまかしもかまわない」とか、「安全性や耐久性等の余裕が少ないものを世に出しても構わない。なぜならば、事故等は滅多に起こらないからだ」などになります。
 また、商品は高ければ売れないと言う考え方も問題となる。そうすると、同じ品質ならば他所より安く価格設定しなければならない。それでも利益を上げるには、徹底的にコストを削減するほかない。だからクレームが出ない程度に安い部品や外注を利用しようとなるはず。製造や外注も同様、クレームが出ない程度に質を落としたり工程を省いたりするかも知れない。もしかすると「こんな価格で遣ってられるか!」との不満を持っていることも考えられる。それも品質の低下となる。ところで、消費者は安いものばかり求めているわけでは無い。生活必需品・日用品などは安いに越したことはないかも知れない。しかし、趣味嗜好品などは本人にとって価値・魅力を感じられるならばかなり高額でも購買に繋がる。自動車や時計などが良い例だろう。だから、商品の価値を正しく伝え、他より高くても買いたいと思う理由をハッキリさせたならば売れる可能性がある。経営者は、社員等を疲弊させることの無いよう商品の価値を正しく伝え、過度の値引・低価格にならない適正な価格で販売するための努力が必要だろう。
【まとめ】 将来、未来に向けての投資は、絞り込み資源を集中して行うのが常識。これに対し、現在の定型業務は全般的になるべく品質を重視し丁寧に行うのが良い。零細企業にとって、付加価値アップはコストカットより、大幅な値引回避のための商品価値の正しい伝達が有効。それは経営幹部の仕事でもある。

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