日高税務会計事務所

OODAループを意識活用しよう!

23.01.14 | 所長メルマガ

よく知られているPDCAサイクル(計画→実行→評価→対策・改善)はビジネスでも大変有効な手法です。紹介本なども多数あります。几帳面な日本人の気質にもあったものとも言えるでしょう。ところが、環境変化の激しい時代にスピード重視の新しい手法が求められるようになりました。PDCAでは対応に時間が掛かり過ぎて活用し難い場面があるからです。

PDCAは品質管理や生産管理など製造現場で使い勝手のよいものです。つまり、状況や前提条件があまり変わらない中で最適解を見付けるのに適しています。変化が大きく、予測が立ちにくい状況では役に立たないのです。諸外国の軍隊でも以前は用いられていたようです。冷戦時代のように国と国との争いで、相手の行動がある程度想定される場合は、多くのシミュレーションを行い不具合を潰していけば何とかなるからです。ところが昨今、敵は国家だけで無く、宗教や思想に感化された集団や個人も含まれ、テロ行為など何が起こるかわかりません。そこで注目されたのがOODA(ウーダ)ループです。
  ①Obseve (観察=みる)
           対象を観察・調査し、生のデータを収集します
  ②Orient (状況判断)、方向づけ=わかる)
           集めた情報を分析して、どういう状況が起きているのかを理解し、行動の方向性を考えます。
  ③Decide (意思決定=きめる)
           どういった行動を取るかを具体的に決めていきます。(PDCAと違い即応で)
  ④Act (実行=動く)
           実際に行動するとともに次回のループの観察もします。
           行動すれば結果、状況の変化が起こるためです。

 OODAの最大の利点は、素早く対応ができることで、副次的には自ら考えて行動できる組織作りができることです。逆に欠点は、その場の思いつきや感情で行動する人が出てくること、さらに、データが残りにくく共有がされないことが挙げられます。回避策としては、OODAループを回す目的を常に共有すること、論理的な多数の視点から定期的に考え方や方向性を議論することなどです。
 OODAループは、状況をみて取り敢えずやってみるもの。逆にPDCAサイクルは、計画を立ててから行動するもの。両者の特性の違いを知った上で上手に活用するのが望ましい。
 例えば、サービス業でもファミレスやファーストフードでは、単純な繰り返しの作業が多いので標準化し、マニュアルを作成し、それを守らせるのが良い(PDCA的アプローチ)。それに対し、高サービスの高級ホテルやテーマパークなどの現場では、クレドやミッションに基づく、マニュアルに記載が無い対応を素早く行うことが奨励される(OODAループ的アプローチ)。
 余談であるが、プロ・スポーツについて日本では野球の人気は昔から高い。サッカーやラグビーも上がってきているが、まだ途上だろう。ところで、野球はベンチなどの指示を仰ぐ場合が多々ある。これに対しサッカーやラグビーは事前に作戦を立てていても、試合中は現場で臨機応変に対応することが求められる。これもOODAループ的だと考えてもいいのではないだろか。

 仕事ができる人は、PDCAとOODAを意識せずに(無意識で)行っているものと思われます。

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