税理士法人SKC

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日本人のルーツと未来

23.05.28 | 堺俊治の独り言的情報

 先日、読み終えてない書籍(何冊か同時進行で読むことがよくあります)を手にしながら、2ページも読まないうちに眠くなって、読み進めない本と、どんどん読み進めてその日中に読み終えてしまった本がありました。 読み進めなかった本は、2冊で、いずれも日本の古代史に関わる本で、読み終えたのは未来に関わる本でした。

 読み始めた3冊はいずれも50ページ程度読んで、すぐ手の届くところに積んでいた本ですが、香川宜子(かがわよしこ)著の「日本からあわストーリーが始まります」、渡部昇一著「古代史入門」と成田悠輔著の「22世紀の民主主義」の3冊です。 香川宜子の著作はネットで本人が著作に至った逸話をアップしていて、興味深かったので著者の1作目である「アヴェ・マリアのバイオリン」を先に読んでいました。 そしてこの「日本からあわストーリーが始まります」を手にしました。 この題目の前書きに「ユダヤアークの秘密の蓋を開いて」があって、ユダヤの「失われたアーク」の話が日本のあわ(阿波)の国から始まるというわけです。 日本人のルーツは縄文人ですが、アッシリアや新バビロニア王国に滅ぼされたイスラエルのユダヤ人が世界に逃亡し、そのユダヤ12支族のうちのイスラエルに戻った2支族以外の10支族(失われた10支族と言われている)が日本に移住し(紀元前5世紀、皇紀の始まり頃)縄文人とともに日本を築いたという話は「日ユ同祖論」としてご存じの方がいると思います。 ヘブライ語と日本語が3,000語ほども同じ発音の言葉があるというのも最近では有名な話です。 私の知識にも「日ユ同祖論」という裏付けがあったため、この「失われたアーク」(インディ・ジョーンズシリーズに『失われたアーク』という題名がありましたが、そのアークです。)の、隠された場所が剣山という話を、いろんなファクトに基づき実に細かくドクター香川女史(徳島の開業医)が展開してくれます。 とても興味深い話です・・・が、120ページほど進んでからがなかなか進みません。 すぐに眠気に襲われるのです。 それで本を変えました「古代史入門」へ、この内容は渡部昇一先生が頼山陽の「日本楽府」を読み解きながら日本人のルーツに迫るというものです。 頼山陽は名前を知っているだけで、「日本楽府」が何たるかも知らずに、ただ渡部昇一先生というだけで読んでみようと思った本です。 仲哀天皇、神功皇后のくだりは、私にとっては「へぇ・・・」といった感で、読み進むごとに興味は尽きないのですが、眠くなってしまい進みません(また日を改めてと思い横に置きました)。 それで、次に手に取ったのが40ページほど読んで、面倒くさそうなので読むのを止めていた「22世紀の民主主義」です。 私はネットで「リハック」(確かそんな名前だったと思いました)という番組で初めて成田悠輔氏を知り、その発言の新鮮さにとても魅力を感じて、その時から注目していました。 何人かの身近な人たちに成田悠輔は面白いからネットで是非観てみなよと伝えたのを覚えています。 確か彼がネットに出始めた頃だったと思います。 調べると生い立ちも独特で日本人としてはとてもユニークな存在に思えます。 東大主席で卒業後、MITで博士号取得、現在イェール大学の准教授をしています。 現在38歳。育った環境はかなり劣悪に思えますし、小学校から高校まで、ほぼ不登校生徒だったようです。 彼のこの本は、現在の選挙制度に絶望している表現から始まり、どう改革しても1人1票の選挙制度では公平な民主主義は創出出来ないというところから始まります。 ラップ的に韻を踏んで、闘争・逃走・構想というテーマで論点が進みます。 最後の構想が22世紀の民主主義となります。 民主主義とは国民の持つデータの変換であり、国民1人1人から集めた超ビッグデータをアルゴリズムにかけて民主主義を自動化するという構想を描きます。 この構想はとても魅力的です。 私などは、オールドメディアでの情報の偏りや、宗教的思想やオカルトなどの洗脳、また変質的な思考などの影響はどうなるのかなどの疑問が浮かびますが、アルゴリズム(集計されたデータの計算手続き)作成の天才にはそんなことは簡単にクリアできることのようです。 彼が言っていることをそのまま転載します。「無意識民主主義アルゴリズムの学習・推定と自動実行のプロセスは公認されている必要がある。選挙のルールが公開されているのと同様だ。オープンソース的な開発コミュニティが検証・更新を行い、ブロックチェーンに基づく自律分散型組織で動く。」 今後の社会で多く語られるであろうアルゴリズムは、既にマーケッティングの分野で、消費者の購入データ等のビッグデータの分析に導入が多用されています。 しかし、本人が伝えているように(やろうと思えばすぐにできると本人は思っているように思えますが)、民主主義の自動化の構想は、22世紀に向けての構想なのです。 この構想では確かに政治家はいらなくなり、民意に基づいた実務執行者が居ればよいことになりそうです。 この構想は魅力的ですが、私には何かが足らないと感じるのです。 彼はトランプ元大統領をこう言います。「民主主義の醜さを体現する人間爆弾トランプを、民主主義の自壊の象徴として高く掲げよう。」と。 さすがに民主党の牙城であるイェール大学で教鞭をとっているだけはあります。 彼は民主主義をあたかもトランプ氏が破壊したような言い方をしますが、先の大統領選挙で投票制度による民主主義を踏みにじったのは、明らかに民主党です。 常にきれいごとを言っている者がそれを信じて実行しているとは全く限りません。 自分では、きれいごとは一切言わないことが信条なように見えて、人を試しながら、実は民主党のようなきれいごとを言うだけの政党を支持する心情が私にはよく見えません。 この著作にこういう一文があります。 「日本のような国の政治・選挙制度には競争も外圧もない。」と成田氏は言いますが、私には、米国と中国の圧力は政治に大きく影響していると思うし、それがために、おいそれと選挙制度も変更できないと思うのです。 日本の政治家は、中国からはいいように利用され、米国からは脅され、しまいには殺されます。 成田悠輔氏、人には期待していないし信じてもいないが、アルゴリズムには期待しその活用結果を信じているということでしょうか。 それでも成田氏の無意識民主主義構想は魅力的です。
 過去の歴史を子細に検証し、日本人のルーツを明確にしようとする二つの著作と、民主主義の未来を構想する著作を同時に読んで、眠らずに読み終えたのが未来への構想を描いた著作でした。 そんな未来の民主主義なんぞ、私が生きて体験できる訳でもないのになぁ、と改めて感じています。 日本人としてのルーツに興味があるのは、自己のアイデンティティーを確立して(いまさらですが)生涯を終えたいからか、未来への構想に目がさえるのは、子供たちにより幸せな人生を送ってもらいたいと思うからか。 それともやっぱり終わったことより、新しく始まることの方に魅力を感じてしまうということでしょうか。

 

 

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