グロースリンクグループ

男性の育児休業について

23.10.31 | グロースリンク 労務部門より

今月の労務情報

こんにちは。労務チームの香川です。

育児・介護休業法の改正により、男性労働者の育児休業取得を促進する動きが高まっています。
しかし「前例がなくどのように対応すれば良いのかわからない」といった悩みを抱えている中小企業もあるのではないでしょうか?
法改正の内容をふまえて、男性の育児休業取得についてご説明させて頂きます。

■男性の育児休業取得が注目される背景
少子高齢化や共働き世帯の増加を受けて、国は男性の育児休業取得を促進すべく、育児・介護休業法の改正を行いました。
高齢者の増加によって社会保障給付を受給する人が増えれば、労働者の負担は増加します。しかし一方で、少子化や団塊世代の退職によって、日本は深刻な働き手不足に陥っているのが現状です。

高齢者1人を支える生産年齢人口の人数は、1960年は11.2人だったのに対して、2014年には2.4人にまで減少しています。このままのペースで少子高齢化が進むと、2060年には高齢者1人を労働者1.3人で支えなければなりません。
また、共働き世帯が年々増加しているにも関わらず、日本人男性の家事・育児時間は他の先進国に比べて短い傾向にあります。家事・育児による女性の負担を軽減し、男性が育児参加する機会を増やすため、国は男性の育児休業取得を推進しているのです。

男性の育児休業取得率は17.13%
厚生労働省が発表した「令和4年度雇用均等基本調査」によれば、育児休業者の割合は無期契約労働者で女性80.2%、男性17.13%となっています。
令和3年度よりも男性労働者の育児休業取得率は増加しているものの、国が掲げる「2025年までに男性の育児休業取得率を30%にする」という目標にはほど遠い状況です。
厚生労働省によれば、労働者が希望したにも関わらず育児休業や育児目的休暇が取得できなかった男性労働者の割合は、全体のおよそ4割にものぼるとされています。

■そもそも育児休業制度とは?産前産後休業や育児目的休暇との違い

育児休業制度とは、1歳に満たない子どもを養育する労働者が、子どもを養育するために一定の期間休業できる制度です。
育児・介護休業法では「労働者は、その養育する一歳に満たない子について、その事業主に申し出ることにより、育児休業をすることができる。」とされています。

■育児休業を取得できる人
育児休業は、要件を満たした労働者であれば、男女を問わず取得できます。また、正社員だけではなく、有期雇用労働者も一定の条件を満たせば利用できる制度です。
なお育児休業は、育児・介護休業法に基づいた労働者の権利です。たとえ就業規則に規定がない場合でも、要件を満たす労働者には育児休業を取得させなければなりません。

■育児休業を取得できる期間
育児休業は、原則として子どもが1歳になる誕生日の前日まで取得できます。「パパ・ママ育休プラス」を利用すれば、子どもが1歳2ヶ月になるまで育児休業を延長できます。
また、「子どもが保育園に入れなかった」といった特別な理由がある場合には、例外的な措置として子どもが1歳6ヶ月(再延長で2歳)になるまで育児休業の延長が可能です。

■出生時育児休業(産後パパ育休)制度の創設
育児休業とは別に、子どもの出生後8週間以内に4週間まで取得できる「出生時育児休業(産後パパ育休)」が2022年10月より新たに創設されました。この制度は主に男性を対象としていますが、養子を育てているなどの理由がある場合には女性でも申請可能です。
育児休業中は就業しないことが原則であり、労働者の意に反して就業を求めることはできません。例外として、条件を満たせば休業中の就業は可能ですが、細かなルールがあるため十分な注意が必要です。
労働者側から休業中の就業について相談があった場合には、厚生労働省の規定などを確認し、労使間で慎重に検討しましょう。


最後までお読みいただきありがとうございました。


~労務担当者のご紹介~

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