日高税務会計事務所

長寿企業を目指す選択肢もあります

15.08.17 | 所長メルマガ

今までどちらかと言えば、拡大成長を支援するような記事を多く書いてきました。しかしながら、市場規模の小さな業種や手間がかかる割に儲けが少ない業種の方々には、成長路線は大変難しものです。それよりは、出来るだけ長く事業を続けることを目標とすることも有りだと思います。日本には長寿企業が世界的に多いと言われています。100年企業はかなり有りますが、300年続く企業も存在します。しかし、よく調べてみると会社の規模は社員数名の零細や中小企業レベルが多いようです。だから、三代に渡って同じ場所で同じ家業を営んでいることも決して悪くない。社会の変化に適応出来ず、食っていけなくならなければ良いのです。極端に言えば、第一次産業である農林水産業でも同じだと思います。

ところで、先祖や親類の職業を調べてみると、ある人は教師が多かったり、あるいは法律関係だったり、医者だったり、大工、役人・・・など偏りがあることが多いようです。これは環境や地域により選択肢が限られていたのかも知れませんが、その職業で大失敗をしなかったならば適性があったと言えます。若い人で親や親戚が行っている事業が嫌でたまらないと感じなければ、素質は十分あります。本人が本気で事業を継ぐ気があるかどうかで決まります。事業がうまくいっている創業者であれば、後継者に後を任せて維持発展を望むのは当然と思います。後に残すかそれとも終わらせるか悩むところです。「自分一代でやりたいことをやりたいようにやる。後のことは考えない」と言う生き方も有りますが、「数代かかっても夢を実現してもらいたい」と言う生き方も有ります。そこまで極端でなく、とりあえず事業を引き継いで貰って、失敗しないための最低限のルール(経営理念、哲学、社訓など)と他所より優れた基礎(根幹)的技術(知識)の二点だけはしっかり伝承できれば、それで良しとしましょう。環境が恵まれ、後継者に才覚が有れば事業は発展できます。自然界で、植物は種子を残しますが、乾燥した不毛の土地では芽が出ません。しかし、環境が適した場所では大きく成長出来ます。これと同じです。25年から30年で世代交代と考えますと3~4代で100年続くことになります。企業が成長発展させるのも大事なことですが、長く続けることも価値あることでしょう。もちろん両方出来るのがもっと良いですが。冒頭にあげた、市場規模の小さな業種や手間がかかる割に儲けが少ない業種は潰れにくいので、チャンスが到来するまでのあいだ、しっかり技術を磨くことです。長期戦で勝負することになります。

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