日高税務会計事務所

中長期経営計画は必要ない!?

15.10.13 | 所長メルマガ

中小零細企業の経営者は日々の業務に負われ、経営計画を作成していない方も多いようです。社員が少なければ、社長の頭の中に有ればそれでも良いでしょう。計画を作らない方の言い分は、①零細企業は景気や周囲の環境の影響を大きく受けるので予測が困難 ②誰にも公表する必要がない ③融資のためのツールとして必要な時のみ専門家に依頼する ④計画に縛られ自由な活動が取りづらくなる ⑤作成すると、いつも計画を下回り自信が無くなる などが挙げられます。

これに対して作成される方の得られるメリットとして、①会社を維持していくための年間の目標となる数字がはっきり認識され優先順位もはっきりしてくる ②状況に応じ計画をある程度公開することにより、従業員や取引先の協力が得られやすくなる。③現状よりレベルが上の計画を立てることにより成長させることができる ④失敗や成功の原因分析および後の対策がより緻密になる ⑤社長の意識が会社全般に回るようになる など多数あります。ところで計画に対して 達成=成功 のイメージがあります。国の予算と会計報告などは差異が大きくあってはなりません。しかし、民間(特に中小零細企業)では実績が違ってもあまり問題にはなりません。利害関係者も少ないし、社会に対する影響もありません。例えば、自動車を運転する時、「制限時度50Km」であっても、状況に応じて徐行したり、停止することがあります。また見通しの良い場合はスピード違反で捕まらない程度オーバーすることもあるでしょう。もしも、50Kmで走らせないといけないと考える人がいたなら大変危険です。つまり 計画=目安 で良いと思います。だから、計画を下回っても良いし、上回れば喜ばしいですが、それよりもその差異を検証することが大切です。また、メリット③にあるように、高い目標でないと組織は現状維持しようとするので、本音とは別の建前としての目標を掲げ、成長のツールとして活用することもできます。
 では、中長期経営計画はどうでしょう。やはり作成した方が良いと思います。計画通り行かないことがほとんどですがそれで良いのです。作成することにメリットがあります。それは、①経済や社会の変化も考えなければならないため視野が広くなる ②シミュレーションを多く繰り返す必要もあり、時間も取られるため現場から離れる時間が必要となる(現場を人に任せることが必要となる) ③突発的な事故や災害、大きな経済変動などが発生した場合、計画を作成していない経営者より対応が早く適切に対応が出来る ④事業承継がやりやすくなる ⑤金融機関の評価も高くなる などです。ところで、天気予報は外れることもあるが、見ていると役に立ちます。目の前の空の様子だけで判断するより遙かに良いです。経営の予想も数多く行うほど精度が高まり、変化の対応も早くなります。だから、中長期経営計画は作成された物ではなく、作成する事が重要なのです。

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