日高税務会計事務所

思考を限定させるとビジネスは有利になる!?

15.11.16 | 所長メルマガ

話し方の本の中でよく「オープン・クエスチョン」と「クローズ・クエスチョン」が紹介されています。オープン・クエスチョンとは、自由に答えられる質問のことで、「〇〇についてどう思いますか?」など 聞き手が答えを制限出来にくいものです。相手の発想や思考を広げることを意図して使われることもあります。これに対して クローズ・クエスチョンは、「はい」「いいえ」で答えられる質問です。ビジネスでは忙しい人に用いることが奨励されるようです(指示・確認など)。

私は限定された範囲のなかで、相手に選択させる質問なども クローズ・クエスチョンの範疇だと思います。 ベストセラー『伝え方が9割』(佐々木圭一著/ダイヤモンド社)の中で、週末にデートを申し込む場合、「食事にいきませんか?」と誘うより、洋食が好きな女性の場合、「すごっく旨い イタリアンとフレンチの店 知っているけど、どちらがいい?」と言う方がデートが成功する確率が高いと紹介されています。人は選択肢を示されると自分が選ぶことで満足を感じるものです。正解が選択肢の外にあろうとも、それに気づきません。選択肢を示すことは、全くそれ以外の選択肢が存在しない場合を除いて、可能性を否定することです。つまり相手の思考を限定(制限)することになります。これはビジネスではよく用いられます。商談や会議のプレゼンで本命のプランを売り込むため、相手(上司)の選択が難しい他のプラン(品質が素晴らしいが価格が高い、価格は低いが品質に見劣りするなど)を幾つか用意しておきます。売りたい商品「竹」をさらに伸ばすため、「松」や「梅」などあまり儲からない商品をメニューに用意します。ところで、私たち税理士は仕事上多くの節税の相談を受けます。例えば、土地は更地のままでは相続税の評価が高いので、建物を建てた方が良いかの相談です。土地に賃貸用の建物を建てると確かに評価は下ります。しかしその前に相続財産は全部でいくらなのか? 相続税の概算は幾らか? 建物を建てるとしてその資金はどうするか? など様々な角度から検討しないと有利不利は見えてきません。また時間や法律の改正も考慮に入れなければなりません。一般に建築関係の会社が示す節税策は、建物を建てることが前提です。銀行のものは借り入れが前提です。保険もしかりです。自分の提案するプランを採用した場合と採用しなかった場合を比較してメリットのみを伝えます。前提条件(例えば、保険の節税プランの場合、将来も利益が出ていることが前提となっていることが多い)が変わったら どうなるのか、また、それ以外の対策についての情報を積極的に提供しません。だから、何もしないことが最も有利になる場合もあるのです。税理士の間では、「小金持ちは節税策に熱心だが、大金持ちは節税策は考えない。オーソドックスな節税策だけを好む」と言われています。土地に建物を建てるとその分、現預金が減るか借入が増えるし、管理の手間も増える、また換金し難くなる。ある資産家は贈与税が少しかかる程度の現金を正月に来た子供の配偶者や孫にもお年玉として贈与するそうです。そうすれば、親族はいつも集まり寂しくならず、また相続の争いも予防できるそうです。もちろん相続税も減らせます。

TOPへ