日高税務会計事務所

売上増加が全てを好転させる!?

16.01.18 | 所長メルマガ

会社の利益を多くするには、売上を増やすか経費を減らすか(あるいはその両方)です。一般的には経費節減の方が易しいので、こちらが優先して実行されます。大手企業は、中小零細企業よりも営業力がありますので、利益が少ない場合はムダな経費が多い状態ですから経費節減で劇的に改善出来る場合が多いのです。リストラ(人件費削減)で 立ち直った事例は良く聞きます。これに対して、中小零細企業はもともとムダな経費は、ほとんど使っていません。赤字になるからと言う理由で、営業経費の一部を社長が自腹で負担している会社もあります。また、高給取りの余剰人員などいませんので人を減らせば、販売や生産も大きく減少します。だから、経費節減はあまり効果がないのです。特殊な技能により売上のある会社が、放漫経営で状態が悪いなどは滅多にないからです。

そうなると、難しいが売上を増やすことが第一の目標と成ります。正確には粗利益額を増やすことです。なぜなら、力のない営業は売上の目標額が増えると、安易な値引きにより達成しようと試みるからです。だから、値引は限定的で最終の粗利益額が増えることを目標とします。このため、商品ごとの原価や営業経費を十分理解している人が値決めをする必要があります。具体的に売上(粗利益)を増やす方法は、まずはなるべくお金の掛からない方法から試みます。声かけ、商品・サービスの価値を伝えるツールの工夫など色々あるはずです。すぐに見つからなければ、同業者ではなく異業種のすぐれた事例を真似たり応用することがてっとり早いです。次に、社長や幹部は、経費の内容を見直します。これは削減するためではなく、売上を増やす投資として どの経費を増やすか検討するためです。経費は、直接営業費・間接営業費・維持管理費 に区分出来ます。また、商品サービスの価値を上げるための経費 や 新市場開拓のための経費 もあります(これら投資の性質の強い経費を「戦略費」と呼ぶこともあります)。零細企業では社長が経営を勉強するための費用を忘れがちです。こうした視点から経費を分類し、優先順位を付け、重点的に増やすものを決めます。こうした仕事は営業経験などのない経理担当者や会計事務所には任せられません。理由は、会計上は「交際費」や「広告宣伝費」であっても 内容を知らないと正しく区分できません。勘定科目での分類は、性質が似ているものの玉石混合であり、金額が分かるだけです。区分が出来て初めて、増加・現状維持・削減が正しく出来るようになります。ここで大切なことは、区分が正しいかどうかではなく、売上(粗利益)を増やすために増やす重点経費を決め、予算を組み、それをどのように資金調達をするか決めることです。新たな借入が必要となるかも知れません。この場合の借入は、資金繰りが悪いから手当するのとは全く次元が違うのです。このあたりの視点か欠けていると経営計画を作成しても、売上だけ順調に伸びているが、経費は変わらないか若干増加で利益だけ上がるバラ色のものとなり、融資の申込以外に使い道のないものとなります。例えは良くないのですが、玉がなければ戦争でも勝てないと同様、売上(粗利益)を増やすため経費を使う、ただし、最終の利益は必ず確保することです。

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