日高税務会計事務所

掃除や整理整頓で業績が改善する!?

16.02.15 | 所長メルマガ

  そうじや整理整頓を徹底すると運気が上がるとか利益が出るようになると言われます。経営者自らがトイレ掃除を行ったり、社員が事業所周辺の他 近隣の駅前の清掃を行う企業もあります。つぶれかけた会社が立ち直った話を聞くこともあります。そうなると、理由も分からず、掃除の徹底を社員に強要する経営者も出てきます。確かに業績が好転する場合もあります。これは正しいやり方なのでしょうか?。

  掃除や整理整頓などは「環境整備」に含まれるもので、これを重視する企業も多いです。しかし、環境整備自体は、直接利益を生むものではありません。会社の基礎力(体力)に当たるものです。環境整備が整っていれば、社員のモチベーションが高まり、ミスや事故が少なくなります。ムダ・ムラ・ムリも見えやすくなります。つぶれかけた会社の例ではそうじ等の環境整備により、会社の基礎力のレベルが上がったため、結果として社員の努力により業績が回復したものと考えられます。だから、環境整備の徹底は、ダメな会社が(一流を目指す)普通の会社に成るためには有効です。しかし、それだけでは高収益企業につながりません。コンサルタントの小宮一慶氏がセミナーで述べてありましたが、世界的レベルの技術者集団ならば「挨拶」や「気配り」の徹底よりも技術の内容が優先されても構わない。それが分からず取引を断った会社があったとか。同様に、浜口隆則氏も 大手術が必要とされるとき、親しみやすく、説明もしっかりしてくれる50%の成功確率の医者と、ぶっきらぼうで、あまり説明もしてくれない99%成功確率の医者のどちらに頼むかは明らかであると。つまり、しっかりとした技術・商品・サービスが有って初めて、お客様から選ばれる。まず、商売の大前提はここにある。次にその価値ある商品・サービスの価値を正しく、より多くのお客様に知って貰う。これが狭義の「営業」。そして、そのための組織を維持することも必要。経営の優先順位からみても環境整備は利益との関係はあるが低いと言えます。必要だがそれだけでは勝ち残りないのです。環境整備を重視する会社でも利益の上がらない会社はあります。やらない会社よりは業績は良いかもしれませんが・・・。トイレ掃除は精神を鍛えるためのツールとして有効かもしれませんが、それだけをやっていれば業績が上がる訳では無いでしょう。同様、「ありがとうございます」や「ついてる」などの言葉を多く言うことも、自己暗示などの効果はあると思いますが、それだけやっても商売上の優先順位の高いことを真剣に行わなければ、大した効果は現れないでしょう。「神様」や「言霊」の御利益を本気で信じないのが正しいと思います。これらは、習慣づけのための方便かもしてません。一般社員には仕事を楽しくやって貰う必要がありますが、経営者は事業の全体を考えて、本当に力を入れてやるべきことを決めなければなりません。

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