日高税務会計事務所

価値は正しく伝わっていますか?

16.03.22 | 所長メルマガ

商売をやる上で経営者が最初に取り組まなければならないことは商品力を高めることです。売る商品や提供されるサービスが価格から考えて、お客様の期待する価値よりも低ければ、取引は成り立ちません。巧みな営業で買っていだいても、詐欺まがいであり長くは続きません。だから良い商品を探し出し、あるいは創り出していかなければなりません。しかしながら高品質であらばお客様が買ってくれる時代ではないことは分かっています。機能や用途を絞りこんだ低価格商品が良く売れていたり、超高級品もそこそこ売れる。しかし、日本が得意だった高品質の普及品が以前ほど売れなかったりする事例など聞くことも多いですね。100円ショップの商品でも結構使えるものは数多いです。

大切なことは、商品は常に 価値>価格 であることです。しかも、提供する会社から見てではなく、お客様の視点から考えてそうあるべきです。今日、ある程度続いている会社の商品・サービスは決して悪くはありません。品質が悪いから売れないのではないのです。それよりは商品の価値が正しく伝わっていないから売れていない場合が多いと考えられます。「うちの商品は一目見れば違いが分かるはず」と言う経営者もいます。しかし、必要とする人の目に付く状態でないことが多いでしょう。触ってみれは違いがわかる商品でも、触れる状況は限られていたりします。説明して初めて価値が分かる商品でも、説明がほとんどなされていません。このように商品の本当の価値は十分に伝わっていないことが多いのです。よくPOPを変えたり、新たな使用方法を提案することによってヒットする商品もあります。商品自体の品質が上がった訳ではありません。また、他の店舗では変わらないのですが、その店舗では以前より確実に売れる商品が生まれます。それは、お客様に商品価値を伝えることに成功し、納得して購入に至ったと言うことです。だから、商品の価値を正しく伝えることに広告宣伝費も使うことです。中小零細企業ではイメージ広告などほとんど必要ありません。ところで、商品開発では、①お客様の要望を調査してから新商品を開発する方法と②売れると自信のある商品を試作し、それをお客様の要望を聞いて改善・改良する方法の2つがあります。大手企業は豊富な資金を使い①の方法で商品開発することが多いと思われます。ところがなかなかヒット商品が生まれず苦労しているようです。だから中小企業には②の方法をお勧めします。調査する人員や費用もなるべく掛けず、自社の経験技術とあとは直感やひらめきを頼りに出来るものから創造します。そこからの改良で商品を磨き上げます。そうして出来た商品は、お客様の頭にない商品であることも多いです。世に出た後、「こんな商品が前から欲しかったんだ」と言わせます。①の方法ではお客様の頭にすでにあるイメージから欲しい価値を導き出したものであるから、全く新しいものが出来ることは少なく、無難なものになりがちです。②の方法では、お客様がまだ気づいていない潜在的な欲求を刺激した商品を生み出す可能性が多くなります。ソニーのウォークマンやアップルのiPhoneもトップダウンからの開発商品だと言われています。大ヒット商品は、あまり市場調査からは生まれないものです。
 商品価値は、積極的に伝えようと努力しないとお客様には正しく伝わらないものです。価値が理解されなければどんなに品質の良い商品・サービスを提供しようとしても売上がたたず、利益とならないのです。

TOPへ