税理士法人SKC

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税務対策室

16.03.23 | 事務所情報

皆さん、こんにちは。元国税調査官の税理士、古閑です。

 沖縄滞在中ですが、外気温は25度! 通りには、地元の方の半袖かりゆし、海外からの観光客はTシャツ短パン姿の方を多数見ることができます。気の早い若者は、マリンレジャーを楽しんでいるようです。

 さて今回は、「みなし役員」についてお話しします。

 先般知人の税理士から、“顧問先の税務調査において「社長の奥様は、法人税法上の「みなし役員」に該当しますので、奥様に支給した賞与は全額損金不算入となるので否認します」と調査官から言われたが、何とかならないものか?”と相談を受けました。

 奥様の職務内容等を確認したところ、調査官の言い分はもっともであり、反論できないような内容でしたので、立ち合いをお断りした案件がありました。

 では、何が問題だったのでしょうか?

 法人税法上、「みなし役員」とは次の者をいいます。

 1 法人の使用人以外の者(取締役又は理事となっていない会長、理事長、顧問及び相談役等)で、その法人の経営に従事している者

 2 同族会社の使用人の内、次に掲げるすべての要件を満たす者で、その法人の経営に従事している者

① 株主グループをその所有割合の大きいものから順に並べた場合に、第1順位から第3順位までを合計した所有割合が50%を超える株主グループのいずれかに属していること

② その使用人の属する株主グループの所有割合が10%を超えていること

③ その使用人(その配偶者及びこれらの者の所有割合が50%を超える場合における他の法人を含む)の所有割合が5%を超えていること

 「その法人の経営に従事している者」とは、法人の主要な業務執行の意思決定に参画することをいいます。たとえば、資金繰り、特に銀行との融資交渉や、主要ポストの人事担当、又は経営計画等に参画している場合などは、「みなし役員」と認定される可能性が高いと言えます。

 では、「みなし役員」と認定されると何が否認されるのでしょうか?

 「みなし役員」と認定されると、その者に対する給与及び賞与は全て役員に対して支給したものと同等に取り扱われます。よって、定期同額給与等、税法の定めによるもの以外は損金処理することができなくなります。

 今回の相談案件では、「社長が全株を所有する同族会社の奥様で、社長は毎日現場で作業に従事し、奥様が資金繰り、人事その他経営全般を一人でこなし(特に本件では、税務署に滞納があり、分割納付の相談を行っていた)、反論の余地は認められませんでした。

 「株をもっていなければ大丈夫」と、社長夫妻は考えていたそうです。

 皆さんも十分ご留意ください。

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