日高税務会計事務所

良いところだけを引き出す!

16.06.13 | 所長メルマガ

庭木の剪定で、プロは切った時点のかたちだけでなく、植物の性質を考えた後の成長を見込んで行います。また、伝統的な木造建築でも材木の縮みや反りを計算して材料の選択や配置を注意深く行います。このように西洋に比べ日本ではものの価値を活かすことが得意と言えるかもしれません。だから、人間関係においても良いところを引き出すことは可能だと思われます。

  まず、お客様について考えてみましょう。事業を営んでいて頭を痛めるのは、無理な要求をするお客様やクレーマーです。もちろんミスや手落ちがある場合は致し方ないのですが、こちらに落ち度が無くむしろお客様の勘違いが原因の場合もあります。しかし、誠心誠意説明してもなかなか納得して頂けない。商売をやっていれば、ある程度の確率でそのようなことに出くわすとものだと割り切ることも必要でしょう。日経MJ(流通新聞)の水曜日の人気コラム「招客招福の法則」執筆者である小阪裕司氏によると、商品・サービスの質だけではなく人間関係や絆も大切に商売を行っていると クレームは減っていくようです。氏の提唱する理論の実践会員からの報告では、「ウチのお客様は良いお客様ばかりです」とか、「ミスが起こっても以前のように強いクレームはなく、あなたの店を信頼しているから今後間違い無くやってちょうだいと指摘下さる」などサポーターのようです。人口の少ない地域の新聞配達店、小規模のスーパー、雑貨店、クリーニング店など業種や取扱商品サービスは異なっていても同様だそうです。ところで、そのお店のある地域に特別にいい人が多いはずはありません。他所の店では場合によってひどい言動を行うかもしれない同じ人が、信頼しているお店では無茶を言わない、ミスは指摘しても黙って他店に移ることは無い。信頼を築くことで、お客様の持っている悪い面をなるべく引き出すことがなくなるのです。
 次に、社員に関してです。知識・経験・技能が優秀な人と会社の理念や経営者の価値観が分かる人のどちらを採用しますか。零細企業では前者が多いのではないでしょうか。実はうちの事務所もそうです。しかし創業期の京セラでは価値観の違う社員は辞めてもらったと稲盛氏は言っておられます。成長を続ける企業は価値観教育に力を入れているところが多いようです。ディズニーランドではアルバイトは3日の研修を受けないと仕事に就けないそうです。決まった仕事さえきちんとやってもらえば、何を考えていようが関係ないと考える経営者も多いでしょう。平時はそれでも良いのですが、緊急時・非常時に本当に役立つ社員は価値観が合っているものです。先日、主婦パートが多く活躍している会計事務所のセミナーがありました。そこのパートは週4日制で 2週8日の価値観を中心として教育を行い、それが完了したのち正式採用となるそうです。時間を除けば社員と同等の仕事を責任を持って行ってあるとのこと。昔、仕事が忙しく研修を止めた期間もあったが、パート社員の定着率や協調や和から 続ける必要を感じ復活させたそうです。価値観教育は一種の洗脳と考えて嫌う人もいますが、社員の悪いところを引き出さないためにも必要です。価値観の大きく違う人が同じ組織にいることは、会社の成長を阻害する要因になります。

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