税理士法人SKC

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小説「満州国演義」

16.06.23 | 堺俊治の独り言的情報

私たちの世代は、日露戦争以降の歴史を、学校教育では全く教えられてきていません。そんなこともあって、私も昭和の始まりから日米開戦までの約16年間の日本歴史を殆ど知らないままでした。多くの日本人が、昭和の初期の青年たちがどんな理想を描き、どのように挫折し、どんな想いで戦争に突入したかなど、知らないことが多いのではないでしょうか。

 

日清戦争から日露戦争に至る歴史は、いくらかは学校教育でも扱ったような気がします。また「坂の上の雲」などが映像化されたように、日清・日露戦争に至る時代は映画やTVでも親しまれてきています。しかし私が知る限り、満州事変からの昭和の激動を扱ったドラマは殆どなく、満州国を扱った映像が、僅かに「ラストエンペラー」(米国映画)程度です。今回ご紹介する「満州国演義」は、その昭和初期からの満州を舞台に史実を背景にした壮大なドラマがノンフィクションのかのように描かれています。全9巻に渡り、日本帝国政府と日本陸軍(皇軍)、関東軍との確執、当時のマスコミの動向と日本国民の心情が、満州事変、満州国建国、226事件、上海事変、そして南京入城などを通して見事に描かれています。主人公は敷島太郎(外交官)、敷島次郎(大陸浪人)、敷島三郎(陸軍憲兵隊)、敷島四郎(新聞記者)の四人兄弟で、それぞれの立場からこの時代を体験することで、時代の状況を浮き彫りにさせています。この大作は昨年亡くなった船戸与一の遺作になります。もう既に読んだ方もおられるかもしれませんが、ここでわざわざ紹介しますのは、私が極めて興味深く読んでいまして(現在6巻読書中)、改めて戦前の朝鮮と中国と日本帝国との経緯がよく見えてきたりしています。作者自身が満州国の史実を知りたくてこの作品を生んだように、私たちも、昭和の初期の青年たちがどんな理想を描き、どのように挫折していったのか知っておきたいと思いましたので、皆様にもご紹介します。

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