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年収の3分の1まで!「総量規制」が始まります

10.05.15 | ニュース六法

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改正貸金業法が6月18日に完全施行されることが決まりました。改正貸金業法自体は2006年12月に成立していましたが、これまでは段階的に施行されてきました。今回の完全施行で、上限金利は利息制限法の水準(貸付額に応じ15%~20%)となり、年収の3分の1までに負債を制限する「総量規制」が始まります。 ・・・(写真もしくは「続きを読む」をクリックして本文をお読みください)
 

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改正貸金業法が6月18日に完全施行されることが決まりました。

改正貸金業法自体は2006年12月に成立していましたが、これまでは段階的に施行されてきました。今回の完全施行で、上限金利は利息制限法の水準(貸付額に応じ15%~20%)となり、これを超える金利帯での貸付けは民事上無効で、行政処分の対象にもなります。出資法の上限金利を超える金利帯での貸付けは、刑事罰の対象です。それに加えて、年収の3分の1までに負債を制限する「総量規制」が始まります。

総量規制とは

消費者金融やクレジットカード会社、信販会社などからの借入残高の上限を、年収の3分の1までに制限するものです。具体的には、貸金業者からの借入残高が年収の3分の1を超える場合は、新規の貸付けをしてはならない、という内容です。例えば、年収300万円の方は、貸金業者から100万円までしか借りることができないということになります。年収の3分の1とは、消費者金融利用者の年収調査や家計調査から、無理なく返済できる範囲として定められたものです。借り過ぎ・貸し過ぎを防ぐために設けられた新しい規制です。

貸金業者は、借り手の返済能力を把握するために、負債額が1社で50万円を超えたり、複数社で合計100万円を超えたりする方からは、年収を確認できる証明書を取得することが義務付けられます。既に、前倒しで、収入証明書の提出を求める通知を出したり、新規の貸し付けを止めたりしている貸金業者も出てきています。

規制が始まった時点で年収の3分の1を超える負債がある方は、超過額を直ちに返済する必要はありません。貸金業者から新たな借入れができなくなるだけで、直ちに年収の3分の1までの返済が求められるわけではなく、契約どおりに返済を続けてください。

「例外」と「適用除外」

総量規制には、「除外」または「例外」となる貸付けがあります。除外の貸付けとは、総量規制の対象とならない貸付けです。不動産購入のための貸付け、自動車購入時の自動車担保貸付けなどは、同じ貸付けの残高としてあっても総量規制の貸付残高には含まれません。例外の貸付けは、適用除外と異なり、貸付けの残高としては算入するものの、例外的に年収の3分の1を超えている場合でも、返済能力の有無の判断をした上で貸付けができるものです。
具体的には、有価証券や不動産などでの担保貸付け、顧客に一方的有利となる借換え、緊急の医療費の貸付け、配偶者と併せた収入の3分の1以下の貸付け、個人事業主に対する貸付けなどです。

これらに対して、住宅ローンや自動車ローンは、総量規制の適用除外となっています。住宅ローンや自動車ローンがあるため、借入残高が年収の3分の1を超えていたとしても、総量規制には抵触しません。(住宅ローンや自動車ローンのうち、貸し手が銀行、信用金庫、信用組合、労働金庫、農協等の金融機関である場合、そもそも、貸金業法の適用がある貸付けではないため、総量規制は適用されません。)

総量規制の影響

金融庁によると、クレジットカードでのキャッシングなども含め、無担保ローンの負債のある人は、全国で約1170万人とのことです。最近の調査では、消費者金融利用者のうち約半数は、この総量規制にかかると推定されていますので、ざっと推計しても600万人余りが追加融資を受けられなくなります。過剰な貸し付けを防ぐ、この総量規制の仕組みは、多重債務問題の解決に欠かせません。もともと、年収の3分の1を超えるような借金を抱えている方は、借金で借金を返済する自転車操業に陥っている場合が大半です。今回の総量規制で、新たな借入が出来ないとあわてないで、むしろこれを生活再建の機会と考えていただきたいと思います。

これ以上の借り入れができないと悲観をされる方には、勇気を出して、弁護士に相談し、早期に債務整理の手続きを始めるのをお勧めします。弁護士会などでも多重債務相談窓口を設け、生活再建を支援しています。あなたのためにも、家族のためにも、ぜひ、相談から始めてください。
 

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