大阪プライム法律事務所

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「遺品整理業」というのをご存じでしょうか?

11.11.12 | ニュース六法

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映画『アントキノイノチ』が、11月19日から公開上映されます。岡田将生と榮倉奈々のダブル主演となっています。

これは、さだまさしの同名の小説(幻冬舎文庫)を映画化(瀬々敬久監督)したものです。「遺品整理業」という仕事を通して、もがき苦しみながらも成長していく若者を描いたもので、8月のモントリオール世界映画祭ではイノベーション賞を受賞しました。主人公永島杏平が働く会社は、遺品整理業者「キーパーズ」がモデルとなっています。

みなさまは「遺品整理業」というのをご存じでしょうか。
(写真は、さだまさし著「アントキノイノチ」(幻冬舎文庫)表紙)
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実は、遺品整理専門会社「キーパーズ」社長の吉田太一さんと三木は、かつて、あるシンポジウムのパネラーでご一緒したことがあり、その仕事の重要さ、その仕事の重みを、直接に聞いて、強い関心を持ちました。それ以降、交流をさせて頂いていて、著書が出るたびに送っていただいていました。今回の映画化も知らせて頂いた次第です。
 
映画のあらすじ(公式ホームページより)
高校時代に友人を“殺した”ことがきっかけで、心を閉ざしてしまった永島杏平。3年後、父の紹介で遺品整理業の現場で働き始めた杏平は、久保田ゆきと出逢う。命が失われた場所で共に過ごす中で、次第に心を通わせていく2人。そんなある日、ゆきは衝撃的な過去を杏平に告げる。そして、杏平の前から姿を消してしまう―。
 
遺品整理の仕事
杏平は、高校時代のトラウマから、中退後もうつ病に悩まされていましたが、父から紹介された遺品整理の仕事を見習いとして働いていくうちに「命」と向き合う現場を体験していきます。杏平が働く遺品整理会社が、まさに「キーパーズ」がモデルとなっています。映画の中では”クーパーズ(CO-OPERS)”として登場しています。また、吉田太一社長も、古田という遺品整理業者「クーパーズ」社長として登場しますが、鶴見辰吾が演じています。
 
吉田太一社長は、佐川急便で経験をつんだ後の2002年に同社を設立、現在、東京、大阪、名古屋、福岡の4支店で多くのの遺品整理を請け負っています。
対象となる方の大半が一人住まいで、病院などで亡くなられる方と自宅での孤独死。7~8割は亡くなって24時間以内に発見されるが、中には亡くなってから1か月もたって発見されるケースもあるということです。
 
遺品は大きく、貴重品、思い出品、衣類品、家具・家電品、食料品の五つに分類し、ご遺族の要望にそって入念に整理していくようです。貴重品と思い出品は遺族に渡し、食料品は原則処分、衣類品や家具は遺族が一部引き取ったり、家電品は使用できるものはリサイクル品として換価し遺族に渡すようです。廃棄処分品は廃棄物処理場に持ち込まれます。遺族の中には「貴重品」を含めすべて処分してくれという場合もあるようで、複雑な事情が背景にあるものと思います。
 
私自身も、過去の弁護士業務の中で、亡くなった方のお部屋を整理したことが少なからずあります。身寄りが無くて病院で孤独のうちに亡くなられた方の遺言書により、遺言執行者として住居を整理したことや、借家の明け渡し請求事件の処理の過程で、亡くなられた方の後始末などに関わったこともあり、遺品整理の大変さの一端は知っています。それぞれの事情が様々でした。
 
吉田太一社長の本
私は直接には経験をしていませんが、亡くなってから数週間もたって発見されるケースなどは、それこそ説明ができないほどの凄まじい現場になります。関心のある方は、ぜひ、以下の吉田太一社長の書かれた本をお読みください。絶対に、心を打たれます。生と死というもの、人間社会というものを、改めて深く考えさせられます。
・遺品整理屋は見た!!(幻冬舎)
・私の遺品お願いします。(幻冬舎)
・孤立死(扶桑社)
・遺品整理屋は聞いた!遺品が語る真実(青春出版社)
・おひとりさまでもだいじょうぶ。(ポプラ社)
 
以下「キーパーズ」のホームページより(吉田社長の説明)
キーパーズは「遺品はゴミではない!」と考え、2002年に日本初の遺品整理専門会社として設立し、ご遺族に“ゆとり”を提供する企業として、7年間で全国各地の約8,000名のご遺品整理のお手伝いをさせて頂きました。私たちがお伺いさせて頂くお部屋には、故人の生き様の全てが遺されており、ご遺族への様々なメッセージが託されています。私たちのサービスは、その思いを心に感じご遺族が知らなかった故人の人柄や思いをご遺族へお伝えするという、とても大切な役割だと思っております。お葬儀が終わっても遺品の整理が終わるまでは、まだ故人の存在が完全にこの世から亡くなった訳ではありません。しかし遺品が整理されてしまうと生き様は消え、故人はご遺族の記憶の中の人となってしまうのです、弊社ではその最期のお手伝いをご遺族の気持ちに配慮し、故人への尊厳をもって対応させて頂いております。遺品整理サービスのパイオニアとして、常に見本となり教科書のような存在であり続ける事もキーパーズに与えられた使命だと認識し、遺品整理サービスが、ご遺族にとってさらに感動していただける意義有るものとなるように努めて参ります。(代表取締役 吉田太一)
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