大阪プライム法律事務所

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「召集」と「招集」の違いはわかりますか?

09.09.13 | ニュース六法

今回の総選挙では、自民党が衆院で初めて第2党に転落し、民主党が政権を奪取するという歴史的な転換点となりました。選挙前から言われていた、「自民への不満、民主への不安」は、これからの政治過程でどう変化していくのか。気になるところですが、新首相を選ぶ特別国会が9月16日に「召集」されます。 

「召集」と「招集」は、仕事柄、よくいろいろな法律文書のチェックをしますが、そこで必ずと言っていいほど誤字使用として目につくのが、このふたつの用語です。この違いは、お分かりでしょうか。(写真:衆議院公式サイトより)

今回の総選挙では、自民党が衆院で初めて第2党に転落し、民主党が政権を奪取するという歴史的な転換点となりました。選挙前から言われていた、「自民への不満、民主への不安」は、これからの政治過程でどう変化していくのか。気になるところですが、新首相を選ぶ特別国会が9月16日に「召集」されます。 

「召集」と「招集」 仕事柄、よくいろいろな法律文書のチェックをしますが、そこで必ずと言っていいほど誤字使用として目につくのが、このふたつの用語です。この違いは、お分かりでしょうか。 (写真:衆議院公式サイトより)

いずれも「しょうしゅう」と読みますが、誤字として非常に目につくのが「総会の召集」、「理事会の召集」、「クラス会の召集」などです。いずれも「招集」に修正をしています。ただ、今回の特別国会で用いられるのは「召集」です。 

法律学小事典(有斐閣)によると、以下のように記載されています。

~「招集」については、「合議体を成立させるために、その構成員に集合を求める行為は、法令上、一般に招集と呼ばれている。例えば、地方公共団体の議会、皇室会議、社団法人の総会、株式会社の株主総会(以下略)。」としている。これに対して、「召集」については、「期日及び場所を指定して国会議員に集会を命ずる行為」と示している。つまり、法律用語としては、国会だけで「召集」と使われ、これ以外は、閣議も含めて一般の会議では「招集」が用いられる。  

「召」の字は「お召しになる」から来ている

法律用語としては、前述のように区分がされますが、この用語使用の差異は、呼び集める主体の違いによっています。つまり、国会の場合は、天皇が国会議員に対し、国会へと集まるように命じます。「召」の字は「お召しになる」、すなわち命令の主体が天皇の場合にのみ用います。戦前の「召集令状」も、そのことから「召」の字が当てられていました。 

これに対して、内閣総理大臣が集める会議・審議会では、天皇が主体で呼ぶわけではないので「招集」、地方議会も「招集」を用います。閣議も、皇室会議も、株主総会も、地方議会も、そういった意味で、全て「招集」の字を当てています。このことから、公的な場面での「召集」を用いるのは国会以外にはないこととなり、これ以外の公的な意味合いで「しょうしゅう」に「召集」の字を用いられているならば、それらは「招集」の誤記ということに解されます。 

日本語として

ただ、これは、法律用語としての公的な場合であり、純粋な日本語として用いる場合はどうかについては、やや不明確な部分もあり、必ずしも絶対だめとまでは言い切れるかは分かりません。スポーツ紙などで、プロスポーツのカリスマ的監督が「選手を召集!」など、偉い人が集める場合の誇張表現も、ときどき見かけます。日本語的に言えば、「召集」の「召」の字は、「召(め)される」=「集める」とか「招く」の尊敬語で使う漢字ゆえに、同じ「集まって下さい」でも、普通の場合は「招集」でも、特に偉い人が求める場合は「召集」という区分ということになるので、「偉い人」が集める場合は、「召集」でもいいのかも知れませんが。

ただ、少なくとも自らが作成して呼びかける文書に「召集」の字を当てると、「お前は何さまだ」と言われても仕方がないでしょう。 

漢検では?

以上の点に関して、“まあち”さんという方が書かれている「漢検のご案内」というブログに興味深い話が書かれていますので、ぜひ、ご興味があればお読み下さい。(2005年06月25日(土)「召集と招集」)。

http://blog.zaq.ne.jp/kanken/article/21/

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