大阪プライム法律事務所

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「追い出し屋」を提訴~自力救済の禁止とは

08.12.15 | ニュース六法

敷金、礼金がない代わり、家賃を滞納すれば鍵を交換して閉め出す「ゼロゼロ物件」などの強引な追い出しに対し、大阪で、入居者らが「暴力的言動で退去を迫られ、精神的苦痛を受けた」として、家賃保証会社などに損害賠償を求める訴訟を起こしたニュースが報じられました。代理人弁護士によると、「『追い出し屋』の違法性を追及したい」とのことです。請求の根拠には「自力救済の禁止」という考え方があります。(Photo by (c)Tomo.Yun)


 

敷金、礼金がない代わり、家賃を滞納すれば鍵を交換して閉め出す「ゼロゼロ物件」などの強引な追い出しに対し、大阪で、入居者らが「暴力的言動で退去を迫られ、精神的苦痛を受けた」として、家賃保証会社などに損害賠償を求める訴訟を起こしたニュースが報じられました。代理人弁護士によると、「『追い出し屋』の違法性を追及したい」とのことです。請求の根拠には「自力救済の禁止」という考え方があります。(Photo by (c)Tomo.Yun)

「追い出し屋」とは

広くは不法占拠者を退去させるために工夫を凝らして成功させる者をいいますが、ここでは、賃貸住宅の借主を合法的な手段ではなく、鍵を突然に変えたり、家財道具を無断で廃棄したりして、強引に追い出してしまうことを業とする者を指しています。この手は借り主の連帯保証を請け負う「家賃保証会社」が多いといわれていますが、家主や管理会社が直接に行う場合もあるようです。家賃を払わないのが悪いという反論もありますが、法的な手続を経ないこういった手口は、「違法な自力救済」として、損害賠償の対象ともなるし、場合によっては刑事処罰も受けることとになります。

自力救済(じりききゅうさい)とは
司法手続きによらず、自力でその権利を実現することをいい、原則的に「不法行為」となります。この点は、昭和40年12月07日の最高裁判所第三小法廷判決で、明確に述べられています。こういった自力救済を広く認めると、「力こそが正義」ということになり、結果として権利の正しさよりも腕力の強い者だけが勝ってしまい、暴力の力で社会秩序が混乱するおそれがあるためです。現代では、私権の実現は必ず司法手続きによって行うのが原則とされています。

 

ただし、法律に定める手続きによっていたのでは、違法な侵害に対して現状維持が不可能または著しく困難で、緊急やむをえないような特別の事情のあるときは、例外的に許される場合もあります。しかし、これは極めて限定的なもので、家賃不払いを理由としての賃貸住宅の鍵の変更などは、決してこの例外事由にはなりませんので、気をつけてください。

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