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東京電力による補償金仮払い

11.06.13 | ニュース六法

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東京電力は、福島第1原発事故をめぐって、この4月下旬から避難住民に対する賠償金の仮払いを始めています。仮払いの額は1世帯当たり100万円、単身世帯は75万円です。

また、東京電力は、農林漁業者に対する仮払いを、5月31日から開始しました。また、中小企業者に対しても、6月1日から仮払いの請求書の受け付けを開始しています。今回の仮払いの対象は、いずれも、原子力損害賠償紛争審査会が示した政府の出荷指示などを原因とする損害です。・・・・(続きを読まれる方は、タイトルもしくは「続きを読む」をクリック)
 

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東京電力は、福島第1原発事故をめぐって、この4月下旬から避難住民に対する賠償金の仮払いを始めています。仮払いの額は1世帯当たり100万円、単身世帯は75万円です。

また、東京電力は、農林漁業者に対する仮払いを、5月31日から開始しました。また、中小企業者に対しても、6月1日から仮払いの請求書の受け付けを開始しています。今回の仮払いの対象は、いずれも、原子力損害賠償紛争審査会が示した政府の出荷指示などを原因とする損害です。

■仮払金とは
今回の原発事故によって損害を受けた被害者は、東京電力に補償してもらう権利があります。これは、民法の一般原則によるほか、「原子力損害の賠償に関する法律」によって、事故を起こした原子力事業者は事故の過失・無過失にかかわらず、無制限の賠償責任がある(無限責任主義)とされています。
賠償請求は、各自で直接東京電力に補償を求めて行くのが本来の原則で、賠償義務の有無や賠償額等について争いが生じた場合は、最終的には裁判での解決となります。

ただ、個々の被災者の方にはそれぞれ色々な事情がありますし、補償金額の算定も容易ではないことから、金額確定の前に、暫定的に補償金を支払うことにしたのが今回の仮払金です。したがって、将来において損害が確定し補償金の金額が決まったときは、仮払金は既払金として扱われることになります。

■原子力損害賠償紛争審査会
また、このような極めて多くの被害者が各自で補償を求めたのでは大変な混乱が生じます。そこで、迅速かつ公平に補償がなされるよう、「原子力損害賠償紛争審査会」が設置されています。東京電力との話合いで解決しない場合は、ここに和解の仲介を申し出ることができるとともに、この審査会で損害の範囲の判定等に関する指針を策定します。

この制度に基づき、この紛争審査会は、補償範囲に関して、4月28日に第一次指針として、住民の避難費用、営業損害、就労不能等に伴う損害、財産価値の喪失又は減少等、検査費用(人・物)、生命・身体的損害、精神的損害、および航行危険区域設定や出荷制限指示等に係る損害について、範囲や損害の算定方法の考え方を明らかにしました。
また、5月31日に第二次指針を公表し、住民の一時立入費用、帰宅費用、精神的損害、および農水産物等の出荷制限、作付断念、作付制限、風評被害について、範囲や損害の算定方法の考え方を明らかにしました。今後、更に細かいルールが順次決められ、最終的な補償金が支払われるときも、指針に基づいて支払対象者が決められていくと思われます。
 
現時点で補償の対象として指針に示されなかったケースにおいても、今後示される指針によっては補償の対象になる可能性があります。また、最終的には、原則どおり、被害者と東京電力との交渉・裁判で解決されることになります。

■避難住民に対する仮払い内容
5月31日の東京電力の会見では、避難住民への仮払補償金の支払いは、予定していた約5万世帯分の振り込みを完了したとしています。ただ、今回の仮払いは、第一原発から半径30キロ圏内の避難住民と、計画的避難区域住民のみを対象としたもので、これら地域以外の自主避難者などは対象となっていません。
【対象者】避難」・「屋内退避」が指示された下記区域の居住者
・福島第一原発から半径20キロ圏内の避難区域住民
・福島第二原発から半径10キロ圏内の避難区域住民
・福島第一原発から半径20キロ以上30キロ圏内の屋内退避区域住民
・計画的避難区域住民、緊急時避難準備区域住民

【金  額】一般世帯100万円、単身世帯は75万円
【問合先】東京電力「福島原子力補償相談室」末尾記載
【申請手続】所定の用紙に記入して郵送で申請

■農林漁業者に対する仮払い
東京電力は、農林漁業者に対する仮払いを、5月31日から開始しました。
【仮払対象】第一次指針を踏まえた農林漁業者が被った営業損害
① 政府による避難等の指示により農林漁業者が被った営業損害(殺処分された又は死亡した家畜に係る財物価値の喪失及び処分費用を含む)
② 政府による航行危険区域設定により漁業者が被った営業損害
③ 政府等による出荷制限指示等により農林漁業者が被った営業損害
【仮払割合】一定比率

■中小企業に対する仮払い
東京電力は、中小企業者に対しては、6月1日から仮払いの請求書の受け付けを開始しました。支払い手続きも、6月10日から始まったようです。
【対象者】避難区域等に事業所を有する中小企業者が被った営業損害
※ここでいう避難区域等とは、一次指針の「第3 政府による避難等の指示に係る損害について」に掲げる避難区域等
【仮払い金額】粗利額(平成23年3月12日から5月末日までの相当分)の2分の1(上限は250万円)
※粗利額とは、売上金額から売上原価を控除した金額で、過去の実績額を基に算出されます。
【必要書類】①粗利額を証する書類、②避難区域等において3月12日時点で事業を営んでいたことの証憑等
※①が提出されない場合でも、営業実態等を証明する書類等の提出があれば、20万円の仮払いが可能
【書類の入手方法】
所属団体がとりまとめを行っている場合は所属の団体へ問い合わせを。個別にご請求される場合は、東京電力の末尾コールセンターへ。

■東京電力の補償に関する問い合わせ先
福島原子力補償相談室(コールセンター)
 電話番号:0120-926-404
 受付時間:午前9時~午後9時
[書類郵送先]
 〒105-8730 東京都千代田区内幸町一丁目1番3号
 (郵便事業株式会社 芝支店 私書箱78号)
 東京電力株式会社 宛

■被災者ノート
東電からの補償はもちろん、その他の支援や補償を受けるために、震災当時からの行動記録があると有利になる可能性があります。このために記録をつけるのに非常に便利な「被災者ノート」というのがあります。これは、新潟県弁護士会が作成したものを、福島県弁護士会が改訂して作成したものですが、大阪弁護士会にもあります。
ご希望の方は、大阪弁護士会へご連絡ください。
大阪弁護士会無料電話相談0120-062-545
(月~金 13時~17時)
 

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