大阪プライム法律事務所

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終活 してますか?

10.11.13 | ニュース六法

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「終活」という言葉をご存じでしょうか。
人生の最期の時に向けて、葬儀やお墓の準備、ひいては遺言書や成年後見などの準備をさす言葉のようです。就職活動の「就活」、結婚するための活動の「婚活」があるならば、人生の最期のための「終活」もあっていいはず、というところでしょうか。

・・・(写真もしくは「続きを読む」をクリックして本文をお読みください)。(Photo by (c)Tomo.Yu )

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「終活」という言葉をご存じでしょうか。

人生の最期の時に向けて、葬儀やお墓の準備、ひいては遺言書や成年後見などの準備をさす言葉のようです。就職活動の「就活」、結婚するための活動の「婚活」があるならば、人生の最期のための「終活」もあっていいはず、というところでしょうか。

(Photo by (c)Tomo.Yu )

 

この「終活」の言葉は、09年8月から12月までの週刊朝日での連載記事「現代終活事情」で使われたのが最初のようです。葬儀やお墓に関する知識や最新の事情が紹介されていました。その後、「週刊ダイヤモンド」は「安心できる葬儀」を特集、「週刊東洋経済」も「相続 事業継承&葬儀・墓」を特集したりしています。その後、週刊朝日の連載に新たな企画も加筆されて、「わたしの葬式 自分のお墓」(朝日新聞出版)が発売されています。以下は、葬儀やお墓以外の主な法的「終活」について。

 

遺言書 自分が死んだ後の財産の配分とかを決めておくものです。民法960条で定める方式に従って作成をしなければなりません。遺言の方式には、普通方式遺言として、以下の3方式があります。これ以外に死亡の危急が迫った人などの特別方式遺言がありますが、ここでは省きます。いずれも法的にきっちりしたものにするためには、弁護士との相談をしながらされることをお勧めします。

①自筆証書遺言  遺言書の全文が遺言者の自筆で記述し、作成日付と氏名の自署押印してあることが必要です。遺言書の保管者は、相続の開始(死亡)を知った後に遅滞なく、これを家庭裁判所に提出して、その検認を請求しなければなりません(検認手続)。

②公正証書遺言 公証役場において、遺言内容を公証人に口授(口頭で述べること)し、公証人が証書を作成する方式です。証人2名と公証役場の手数料が必要です。推定相続人・受遺者等は証人となれません。公証人との事前の打ち合わせが必要です。自筆証書遺言のような検認手続きは不要です。公証人に出向いてもらって作成することも可能です。

③秘密証書遺言 遺言内容を秘密にしつつ公証人の関与を経る方式です。証人2名と公証役場の手数料が必要な点や、証人になれない範囲(証人欠格者)は、公正証書遺言と同じです。この方式の場合は、ワープロ打ちや代筆(代筆の場合は、証人欠格者以外が代筆する必要あり)も可能となりますが、遺言者の署名押印は必要です。そこに押した押印と同じ印章で証書を封印します。遺言者は、公証人に氏名と住所を述べたのち、公証人が証書提出日と遺言者の申べた内容を封紙に記載し、遺言者及び証人と一緒に署名押印します。遺言書の入った封筒は、そのまま遺言者に返却されます。相続の開始があった場合は、自筆証書遺言と同じく、保管者から検認手続きが必要です。


任意後見契約 これは、本人が誰かに対して、精神上の障害(認知症等)によって判断能力が不十分な状況になってしまった場合に、財産管理をはじめ、自己の生活・療養看護に関する事務の代理権を、あらかじめ元気なうちに付与しておく委任契約のことです。本人の自己決定権を尊重した制度です。この契約の効力が生ずるのは、実際に本人に精神上の障害が生じて、裁判所から「任意後見監督人」が選任された時からとなります。このため、この契約をしても、それが発効することなく終わることもあります。また、任意後見契約は、正確性を図るために、公証人による公正証書で作成することが必要となっています。

 

葬儀の生前契約・生前予約 最近、自分自身の葬儀の形を自分で決めておき、その費用も用意しておきたいという人が増えています。生前契約とは、葬儀や死後の処置について、生前に内容を詳細に決めて、事業者と契約しておくことをいいます。措置の内容をもちろん、費用の支払い方法も明確に定めます。様々な形式があり、様々な機関、互助会や葬儀社が扱っています。契約者の死後は、財産の権利者や祭祀の主宰者は本人ではないので、契約を確実に執行してもらうためには、遺言、公正証書での契約などが必要になります。互助会などで見られる葬儀費用の積み立ても生前契約の一種と言えます。ただし、先にお金を支払うような場合は、将来破綻しないかどうか、十分に経営状態を判断をする必要があります。

生前予約は、生前に、自分の死後の葬儀を依頼することを言います。生前契約のような厳密さを求めず、もう少し緩やかな準備システムと言えます。亡くなったときも、葬儀内容が事前に準備できているため、遺族はあわてずに済み、必要以上の心労を掛けない点がメリットです。本人の生前の意思を尊重でき、葬儀費用も準備しているため、遺族の不満が残りにくくなります。

 

エンディング・ノート

万が一の時に備えて、家族への伝言、介護・治療法の希望、葬儀・埋葬方法、財産情報、自分史など、いろいろなことにについて、元気なうちに書き留めておくものです。残された家族が困惑しないためにも大変良い方法だと思います。様式は何も決まりが無く、頒布されているものでは、無料のものから1000~1500円程度で売られているものもあります。有名なものとしては、NPO法人ニッポン・アクティブライフ・クラブ(NALC)が作成したもので、発行以来5万冊売れているようです(1000円)。

エンディング・ノートで気を付けないとならないのは、遺言書の形式を踏んでないものが大半ですから、遺言書としての法的効力はないので、遺言書を書いたつもりでいてはなりません。

 

リビング・ウィル(Living Will)

生前の意思という意味で、死後に効力が生じる遺言書と対比されます。尊厳死に対するものとしては、「尊厳死の権利を主張して、延命治療の打ち切りを希望する」などといった意思表示のことを言います。葬儀の方法や、臓器提供の可否などがリビング・ウィルの対象として言われることも多くあります。そういった意味で、リビング・ウィルは自分の死に方の自己決定の形を述べたものと言えます。日本尊厳死協会では、書式例を示して、リビング・ウィルを勧めています。ちなみに、リビング・ウィルは、医師を法的に拘束する法的な力はありません。ただし、延命治療の中止をするかどうかといった段階で、これを残していた本人の意思は推定され、確認する有効な証拠となります。

 

■これらの諸問題については、2008年2月16日に、シニア社会学会主催で行なわれました、「変貌する終末期ケアと終の棲家(これからのターミナル人生を如何に考えるか?)」で、三木秀夫が講演しています。講演録をご覧いただく場合は、三木秀夫法律事務所ホームページのNPOコーナーをご覧ください。
 

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