大阪プライム法律事務所

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大桃・麻木騒動で学ぶ法的知識

11.01.10 | ニュース六法

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昨年、大桃美代子が、ツイッターで元夫Y氏と麻木久仁子との不倫関係を書いたことから、芸能情報ネタとして大騒動になりました。その後3人がそれぞれ個別に会見を開くなどして、どうも話が食い違っている部分があったため、なお騒動は収まらず、年明け後のワイドショー報道でも、この話題が続いています。

この騒動、法的な知識として、学んでおいてもいいかもしれません。・・(写真もしくは「続きを読む」をクリックして本文をお読みください)(by.GATAG | Free Photo )
 

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昨年、大桃美代子が、ツイッターで元夫Y氏と麻木久仁子との不倫関係を書いたことから、芸能情報ネタとして大騒動になりました。その後3人がそれぞれ個別に会見を開くなどして、どうも話が食い違っている部分があったため、なお騒動は収まらず、年明け後のワイドショー報道でも、この話題が続いています。法的な観点からも、どうも気になります。  (by.GATAG | Free Photo )
 

麻木は当初の会見で、代理人弁護士を伴い、Y氏と大桃との婚姻関係が事実上破綻していたため不倫関係には当たらないと力説していました。しかし、その後の大桃の会見を聞くと、交際期間中とされた時は、いまだY氏は本妻の大桃と同居していたということが出てきて、もしかしたら、婚姻関係が破綻していたと判断するにはあまりに無理があるのではないか、ということになってきました。

また、麻木はY氏との交際開始時期を、「2005年・・・、06年、ですね。」と曖昧なままの表現をしていたが、Y氏からは、平成16年(2004年)から交際していたと話し、さらに混乱に拍車をかけていました。どうやら、報道で聞く限りでは、もし平成16年からの交際開始だとしたら、麻木自身も作曲家のM氏とまだ婚姻状態(平成18年離婚)だったことになり、W不倫状態ということになってしまうようでした。

これ以外にも、大桃が、Y氏から、麻木と婚姻関係にあったことを聞かされたことを告白すると、麻木はファクスで、2度目の結婚と離婚を認めました。その後、大桃が神妙な顔で会見に応じて、世の中を騒がしてしまったことへの謝罪を口にしたものの、会見でさらに双方の認識の食い違いが浮き彫りになりました。これ以上は、詳細は書き出すとキリがありませんが、大桃は、麻木が主張する「関係が不倫にあたらない」とする点に、「理解できない。その時は結婚生活が破綻しているとは思ってない。」と反論しています。

何が法的論点か

Y氏が未だ大桃と婚姻関係にあった時点で、麻木がY氏と不倫関係となった場合、大桃は麻木に対して慰謝料を請求しようとすれば可能かどうか。これは、法律事務所には、多く持ち込まれる事例です。

まず、原則として言えることは、妻が、相手の女性に対して、夫とその相手とが性的関係をもっていたことを証明すれば(実はこれが結構難しいのですが)、不法行為として相手方女性に対して慰謝料請求が可能です。ただし、その夫婦関係がすでに破綻している状態下で不倫関係が生じた場合であれば、原則として慰謝料請求は認められません。

最高裁判所判例

この点、最高裁判所・平成8年3月6日判決があります。

この最高裁判決の事案は、離婚を前提として別居していた際に不倫関係が生じていたものですが、判決でこのように述べています。
「夫が第三者と肉体関係を持った場合において、それが妻に対する不法行為となるのは、それが婚姻共同生活の平和の維持という権利又は法的保護に値する利益を侵害する行為ということができるからであって、婚姻関係がその当時既に破綻していたときは、妻にこのような権利又は法的保護に値する利益があるとはいえないから、右第三者は妻に対して不法行為責任を負わないものと解するのが相当である」 「配偶者の一方が第三者と肉体関係をもったとしても、その当時夫婦の婚姻関係が既に破綻していたときは、特段の事情のない限り、この第三者は他方配偶者に対して不法行為責任を負わない」

つまり、籍が入ったままであっても、婚姻関係が別居するなどして既に破綻していたときは、不倫相手の女性は妻に対して不法行為責任を負わないということを述べているわけです。

破綻していたかどうか

このような最高裁判例があるため、不倫の慰謝料を請求された側は、弁護士がつけば、「不倫の当時には、婚姻関係は既に破綻していたから損害賠償義務はない」と争うことが多くあります。これが裁判になると、「破綻していたかどうか」の事実関係が争点として審理され、判断されることになります。

上記の最高裁判例の事案は、同居時代に一度離婚調停を申し立てており(妻が調停に応じず取り下げ)、その後別居をしてから後に不倫関係になったという事案でした。このような事案だと破綻との判断が分かりやすいのですが、単なる「家庭内別居」の場合であっても婚姻関係は破綻していたという抗弁もよく出されますが、その抗弁が通るのはかなり厳しいのが現実です。

今回の大桃・麻木騒動に照らして言えば、麻木がY氏と不倫関係に至った時点で、大桃とY氏との婚姻関係が既に破綻していたかどうかが問題点となります。その場合、大桃とY氏がその時点で別居に至っていたのかどうかは大きなポイントになりますが、どうも、そうではなかったようですね。さあ、今後、どうなるのでしょうか。
 

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