大阪プライム法律事務所

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贖罪寄付をご存知ですか?

10.02.14 | 企業の法制度

贖罪寄付(しょくざいきふ)とは、刑罰に違反する行為をしてしまった場合などに、被告人・被疑者の方が、事件への反省の気持ちを表すために行う寄付をいいます。

これが、よく使われるのは、事故に至らない交通事犯、脱税事犯、薬物事犯など、いわゆる「被害者のいない刑事事件」や、被害者がいる場合でも、示談が成立していない場合などでも、改悛の気持ちを表現するためにもなされます。・・・(続きを読むをクリックして本文をお読みください)

 

贖罪寄付(しょくざいきふ)とは、刑罰に違反する行為をしてしまった場合などに、被告人・被疑者の方が、事件への反省の気持ちを表すために行う寄付をいいます。

これが、よく使われるのは、事故に至らない交通事犯、脱税事犯、薬物事犯など、いわゆる「被害者のいない刑事事件」や、被害者がいる場合でも、示談が成立していない場合などでも、改悛の気持ちを表現するためにもなされます。 

例えば、交通事故を起こしてしまい、起訴されて刑事裁判になってしまったが、判決までの間に示談が成立しないような場合があります。被害者との示談が成立すれば刑罰の減刑事由にはなりますが、被害者の要求との折り合いがうまく進まないなどのケースはよくあります。このような場合に、改悛の情を単に口頭で述べるだけではなくて、裁判官に具体的に分かってもらうために贖罪のためにする寄付が贖罪寄付です。これは、裁判官により、しばしば情状の資料として評価されています。起訴前でしたら、検察官が起訴猶予処分にするかどうかを判断する際にも有利な資料ともなりえます。

寄付先は、各地の弁護士会が主で、日本司法支援センター(法テラス)などでも受けています。いずれも、贖罪として寄付を受けたことを証明する書面を発行してくれますので、裁判資料として用いることができます。

贖罪寄付はぜひ各地の弁護士会へ

各地の弁護士会が受けた贖罪寄付は、日本弁護士連合会並びに各地の弁護士会が実施する「法律援助事業」において、生活弱者の方々への法律手続きへの援助などに有効に使われています。

かつて、1952年(昭和27年)に日本弁護士連合会が作り上げ、各地の弁護士会所在地に対応して支部を設置して運営を行ってきた財団法人法律扶助協会というのがありました。そこでは、資力の乏しい方々に裁判などの際の弁護士費用を立て替えたり、弁護士を紹介したりして、自らの権利を守れるように法律扶助の活動をしてきました。民事法律扶助法に基づき、日本国政府からも補助金も受けて実施していましたが、そこでの大きな財源の一つとなっていたのが、上記の贖罪寄付だったわけです。

この法律扶助協会は、2006年に、国の費用で日本司法支援センター(法テラス)が新設されたことに伴い、協会が行ってきた民事法律扶助事業を、この法テラスに引き継ぎ、解散しました。

その際に、人権擁護のために行っていた、刑事被疑者、少年付添弁護、精神障害者等援助活動、外国人・難民援助活動などで、法テラスの本来の事業に引き継がれなった事業がありました。これを日弁連及び単位会が事業承継し、「法律援助事業」として、法テラスに運営を委託して、行っています。

法テラスが日弁連から委託を受けた業務による援助(日弁連委託援助業務)は、以下のものです。

(1)刑事被疑者弁護援助 (2)少年保護事件付添援助 (3)犯罪被害者法律援助 (4)難民認定に関する法律援助 (5)外国人に対する法律援助 (6)子どもに対する法律援助 (7)精神障害者に対する法律援助 (8)心神喪失者等医療観察法法律援助 (9)高齢者、障害者及びホームレスに対する法律援助 (3)~(9)に関する法律相談 

これら事業は、法テラスに委託しているとはいえ、基本的に弁護士会の事業である以上、その資金は、弁護士会が自前で用意しなければなりません。扶助協会時の自主事業資金と同様にその原資は、主として刑事贖罪寄付金となっています。

各地の弁護士会が受けた贖罪寄付の行方

その半額を日弁連に納付し、日弁連の法律援助事業資金に充てられ、残額は、法律援助事業の日弁連負担額に加算して支払う各弁護士会が「上積」して支払う分や、その弁護士会が独自に行っている独自の法律援助事業の支払いに充てられています。 

ちなみに、大阪弁護士会では、日弁連委託事業分への上乗せのほか、独自のものとして、労災認定不服申立援助事業、年金不支給決定に対する不服申立援助事業、未成年後見人援助事業、未成年後見監督人援助事業を行っています。

贖罪寄付が減ってきています

このように、贖罪寄付は、生活弱者の法的救済のために有効に活用されてきています。しかし、ここ数年、この贖罪寄付が減ってきています。原因は経済不況などにあるかと思われますが、逆に生活弱者への救済活動の必要性が高まってきていることでもあります。しかし、贖罪寄付の減少は、こういった活動を減退しかねない事態になってきています。 

生活保護などの法律援助事業は、貧困ゆえに法的支援が受けられない事態を防ぐ重要な役割を担っています。財政難を理由に、こういった制度の利用に申し込み制限をするわけにいきません。当面は、弁護士会側が会員からの特別会費などの負担で支えるにしても、限界があります。この活動の公益性の高さを考えれば、本来は、国費が投入される法テラスで全てを運営する形に早期に移行する必要があるところですが、なかなか進みません。このためにも、贖罪寄付は是非とも、弁護士会にして頂きたいと思っています。

もし、贖罪寄付をしたいと思う方、身近な方でしたほうがよいと思われる方がいる場合、ぜひ、弁護士会にご相談ください。

[大阪弁護士会への贖罪寄付問い合わせ先 06-6364-1247]

 

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