大阪プライム法律事務所

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新司法試験の合格者が減少しました

09.09.13 | 企業の法制度

09年9月10日、法科大学院修了者を対象にした09年新司法試験の合格者が発表されました。

 

 

今年の合格者は2043人でした。 

合格者の人数は、昨年より22人少なく、合格者数が前年を下回ったのは四回目の今年が初でした。下落傾向の合格率も過去最低を更新し、初めて三割を切る27・6%に落ち込みました。

(写真:法務省庁舎)



 

09年9月10日、法科大学院修了者を対象にした09年新司法試験の合格者が発表されました。今年の合格者は2043人でした。(写真:法務省庁舎)

 

合格者の人数は、昨年より22人少なく、合格者数が前年を下回ったのは四回目の今年が初でした。下落傾向の合格率も過去最低を更新し、初めて三割を切る27・6%に落ち込みました。 

今年の受験者は、昨年より1131人多い、法科大学院74校を修了した7392人が受験し、合格者は男性1503人、女性540人です。合格者の平均年齢は28.8歳でした。 

新司法試験とは、法曹(裁判官、検察官、弁護士)養成制度の改革で設置された法科大学院の修了者を対象に、06年から始まりました。受験資格に制限のない旧司法試験は10年を最後に廃止されます。11年以降は、修了者以外でも予備試験を通過すれば新試験の受験資格を与えるが、人数のめどは決まっていません。合格後は司法修習生となり、最終試験を経て法曹資格を得ることになります。

この年間合格者数に関して、2010年ごろに「3000人合格」を目指した当初の政府計画に変化が生じていることについて、新聞などで批判的に書いているところがあります。

 

確かに、法曹人口の増員と法科大学院の創設を核とする法曹養成制度の改革は、司法制度改革の土台をなすものであり、必要不可欠な改革であったと考えます。多くの弁護士は、この問題で激しい会内論議を経て、「法曹の質を維持しつつ、国民が必要とする法曹人口を確保する」というコンセンサスを形成し、法曹人口の増員に理解を示し、受け入れてきました。これは、これまでの「小さすぎる司法」「市民に縁遠い司法」による問題を自覚し、日本の社会の隅々に「法の支配」を行き渡らせる、透明で公正な社会を作ろうとしてきたことに他なりません。

しかし、こういった改革においても、年間3、000人増員論の無謀性は、理念の先行以外の何ものでもないと考えます。法曹養成は、単に座学だけではなく、実務の中で先輩弁護士の指導を受けながら培う「オンザジョブトレーニング」が絶対的に必要です。その点において、急激な合格者増員は、新人弁護士の採用事務所の確保は困難なことは現実的に発生しているものです。このままでは、「法の支配」を行き渡らせるという本来の理念と逆行しかねないリーガルマインドの不十分な法曹の大量放出が生じ、本来のあるべき改革の軌道が覆される結果を招来しかねません。

本年、新司法試験合格者数の面で、かつてのような急増ベースは落ち着いてきたかに見えますが、この点については、ユーザーたる市民にとって確保されるべき「質」の維持と、法曹全体の整備状況を見つつ、適正な法曹人口の把握に努め、現実ベースの合格者数を求めていくべきと思いますが、皆様はいかが思われるでしょうか。

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