大阪プライム法律事務所

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取調べの全過程録画の実現

09.06.13 | 企業の法制度

1990年栃木・足利市で起きた4才女児殺害事件で、被疑者として逮捕され、無期懲役の有罪判決を受けて服役をしていた菅家利和さんが、DNAの再鑑定によって冤罪が晴れ、先日、無事に釈放されました。

菅家さんは、逮捕後の尋問で自白をしたとされていました。世間の多くの方は、やってもいない罪を自白するはずがないと思っていますが、実際にあるということが、如実に示されました。
(Photo by (c)Tomo.Yu )

1990年栃木・足利市で起きた4才女児殺害事件で、被疑者として逮捕され、無期懲役の有罪判決を受けて服役をしていた菅家利和さんが、DNAの再鑑定によって冤罪が晴れ、先日、無事に釈放されました。

菅家さんは、逮捕後の尋問で自白をしたとされていました。世間の多くの方は、やってもいない罪を自白するはずがないと思っていますが、実際にあるということが、如実に示されました。(Photo by (c)Tomo.Yu )

 

「代用監獄」の恐怖

菅家さんは、逮捕後の自白強要の激しさで、自白してしまったと話していました。

この尋問は、被疑者を23日間、取調べを行う警察署に拘束し尋問できる「代用監獄」制度の下で行われました。このような制度は日本特有なものとして海外でも知られた悪制度です。代用監獄には尋問時間についての決まりや制限はありません。尋問は録音されず、弁護士に連絡を取ることも自由ではありません。このため、菅家さんのような悲劇は後を絶たないのが現状です。 

このように自白をさせられると、公判で「脅されて調書に署名させられた」、「言ってもいないことを調書に書かれた」と主張しても、取調べ状況を客観的に証明する手段に乏しいため、冤罪の深刻な原因となります。

志布志事件・氷見事件

最近でも、自白の強要として無罪が確定した鹿児島選挙違反事件(志布志事件)が記憶に新しいところです。強姦で逮捕され、自白をして有罪宣告を受けて、服役後に真犯人が現れ、無実が明らかになった富山県の氷見事件(再審無罪確定)も、最近のことです。 

取調べの全過程録画(全面的可視化)の必要性

こういたことから、日弁連は、取調べの最初から最後まで (取調べの全過程) を録画(可視化)すべきであると求めています。裁判員制度成功のためにも取調べの可視化が必要です。取調べの全過程の録画が認められれば、取調べの様子を事後に検証することが容易になり、裁判員も判断しやすくなります。 

この制度は、イギリスやアメリカのかなりの州のほか、オーストラリア、韓国、香港、台湾、モンゴルなどでも、取調べの録画や録音を義務付ける改革が既に行われています。日本も早く導入すべきであると考えます。

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