大阪プライム法律事務所

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被害者のための「損害賠償命令制度」が始まりました

09.02.11 | 企業の法制度

広島地裁で審理中の強制わいせつ事件の被害者側が申し立てていたことが、先月に報道されました。初公判が始まる前に、被害者側から慰謝料などを被告へ請求する内容の申し立てがあり、今年の春にでも行われる判決公判で、もし有罪判決ならば、その段階から、同じ裁判官が、賠償額を決める審理を始めることになります。東京地裁でも、傷害事件の被害者が申し立てをしました。

(Photo by (c)H.MIKI 大阪地裁・高裁)

広島地裁で審理中の強制わいせつ事件の被害者側が申し立てていたことが、先月に報道されました。初公判が始まる前に、被害者側から慰謝料などを被告へ請求する内容の申し立てがあり、今年の春にでも行われる判決公判で、もし有罪判決ならば、その段階から、同じ裁判官が、賠償額を決める審理を始めることになります。東京地裁でも、傷害事件の被害者が申し立てをしました。(Photo by (c)H.MIKI 大阪地裁・高裁 )

 

この制度は、被害者が法廷で被告に直接質問することなどができる「被害者参加制度」と一緒に導入され、昨年12月1日から施行された制度です。 

被害者参加制度は、一定の重大な事件について申し入れることによって被害者参加人は刑事訴訟公判期日等に出席でき、証人尋問や被告人質問、さらには論告までも行うことができます。また、自分の代理人として弁護士を選任し、同行して参加することも、または代理人弁護士のみが公判に参加することもできます。また、貧困のために被害者参加弁護士を選定できない被害者参加人に対しては、「国選被害者参加弁護士制度」も設けられています。

それとは別に、一定の犯罪の被害者からの申立があれば、刑事裁判で被告に有罪判決が出た場合、引き続き同じ裁判官が4回以内の審理で、被害者に支払うべき損害賠償額を決定します。これによって、被害者が、別に損害賠償のための民事裁判を起こす負担を減らすことができるようになったのです。 

対象は殺人や傷害、性犯罪などの被害者で、被害者参加の対象となる事件のうち強盗などの財産犯と自動車運転過失致死傷などの過失犯は除かれます。被告の起訴後に、いつでも裁判所に利用を申し立てすることができます。申立料は請求額にかかわらず一律2千円で、経済的な負担も少ないのが特徴です。 

裁判所の賠償額決定に不満な場合は、双方の当事者が異議申し立てすることができ、異議が認められた場合は、通常の民事裁判に移行して争われる仕組みとなっています。 施行日以後に起訴された事件から適用があります。


損害賠償命令制度の対象犯罪
故意の犯罪行為により人を死傷させた罪
強制わいせつ、強姦、準強制わいせつ及び準強姦の罪、逮捕及び監禁の罪
未成年者略取及び誘拐、営利目的等略取及び誘拐、身の代金目的略取等、所在国外移送目的略取及び誘拐、人身売買、被略取者等所在国外移送、被略取者引渡し等の罪
上記に掲げる罪の犯罪行為を含む罪、以上の罪の未遂罪

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