大阪プライム法律事務所

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犯罪被害者参加制度がスタートしました

08.12.15 | 企業の法制度

犯罪の被害者・遺族が、刑事裁判で直接、被告に質問したり、検察官の求刑に意見を述べたりできる「被害者参加制度」が12月1日から始まりました。平成21年5月21日から始まる「裁判員制度」とともに、日本の刑事裁判変える大変革です。今後、どのように定着していくかが気になるところです。
(Photo by (c)Tomo.Yun)

犯罪の被害者・遺族が、刑事裁判で直接、被告に質問したり、検察官の求刑に意見を述べたりできる「被害者参加制度」が12月1日から始まりました。平成21年5月21日から始まる「裁判員制度」とともに、日本の刑事裁判変える大変革です。今後、どのように定着していくかが気になるところです。(Photo by (c)Tomo.Yun)

 

これまでは、被害者・遺族は、単に傍聴人席で裁判官や検察官、弁護士の3者のやりとりを聞くだけで、刑事裁判の当事者にはなれませんでした。犯罪被害者や遺族からの運動で、平成17年に犯罪被害者を支援する「基本計画」が政府で決定され、これにともなって刑事訴訟制度改正に至ったものです。同じく少年法も、少年審判の傍聴を認めるよう改正され、この12月15日から施行されました。被告人や少年の人権の観点から、多くの問題点の指摘はありましたが、大きな司法改革の一つとされています。

 

この制度は、この12月1日以降に起訴された事件に適用され、対象となる事件は、殺人や傷害致死、誘拐、強姦、交通死傷事故などの重罪事件で、裁判員制度の対象と概ね同じです。被害者側が希望して裁判官が認めれば、検察官の隣で被告人に直接質問することが可能となりました。検察官の求刑と別に、自分の希望する求刑意見も述べることができます。被疑者が、自分の代理人として、自分の選任した弁護士を付けることも認められています(また、国選制度もできました。)

 

来年スタートする裁判員裁判でも犯罪被害者・遺族が参加する場合もあります。その場合に心配されているのが、被害者の感情的な意見が裁判員の判断に影響することで、不公正な裁判となるようなケースが生じないかとの心配もあります。特に、無罪を争っている裁判において、犯人と決めつけての被害者の訴えが、裁判員の有罪心証に一気に傾かせた結果、えん罪が発生してしまわないのか、非常に気になるところです。

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