大阪プライム法律事務所

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住宅瑕疵担保履行法をご存じですか

08.06.15 | 企業の法制度

昨年、「特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律(住宅瑕疵担保履行法)」が制定されました。この法律は、09年10月1日以降に引き渡される新築住宅について、建設業者及び宅地建物取引業者に瑕疵担保責任保険への加入又は保証金の供託の方法による資力確保を義務づけたものです。大手ハウスメーカーは当然に対応を始めていますが、まちの小さな工務店からは、施工を前にため息が聞こえてきています。

昨年、「特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律(住宅瑕疵担保履行法)」が制定されました。国土交通省は、今年の5月12日に、同法に基づいて初めて住宅瑕疵担保責任保険法人を指定しました。この法律は、09年10月1日以降に引き渡される新築住宅について、建設業者及び宅地建物取引業者に瑕疵担保責任保険への加入又は保証金の供託の方法による資力確保を義務づけたものです。大手ハウスメーカーは当然に対応を始めていますが、まちの小さな工務店からは、施工を前にため息が聞こえてきています。

 

1999年に「住宅の品質確保の促進等に関する法律」ができ、新築住宅の売主等は、住宅の主要構造部分の瑕疵について10年間の瑕疵担保責任を負うこととされました。しかし瑕疵担保責任保険への加入は任意でした。ところが、2005年に元1級建築士の構造計算書改ざん事件が発覚し開発会社の元社長らの刑事責任も問われました。国は、これを受けて2007年6月に、建築確認審査を厳格化した改正建築基準法を施行しました。このために、欠陥住宅購入者の救済策として、第166回通常国会において、「特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律(平成19年法律第66号)(住宅瑕疵担保履行法)」が成立・公布されたものです。今後、新築住宅の売主等に対しての瑕疵担保責任を履行するための資力確保の義務付けについては、来年2009年10月1日に施行されます。つまり、これ以降、完成から一年以内の新築住宅の売り主すべてに保険加入か、保証金供託が義務付けられます。対象事業者は注文・賃貸住宅の請負人(建設業者)、分譲住宅の売主(住宅業者)です。なお、本格施行前に売買を契約した場合でも、引き渡しが施行後であれば、この法律の対象に含まれます。

 

供託 供託金は過去10年間に供給した戸数に応じて違いますが、1戸あたりでも最低2000万円と算定されています。法務局などの供託所に10年間預け、売主、請負人が倒産して補修などが出来ない場合は、買主が供託所に必要な補修費用を請求することになります。
住宅瑕疵担保責任保険 保険は売主、請負人が国土交通省の指定する保険法人と契約を結び、保険が掛けられた住宅に瑕疵が判明して補修する場合などに保険金が支払われることになります。保険の場合は着工前に保険に加入し、工事中に検査を受けなければなりません。保険料は保険会社によって違うようですが、国交省によると、建設費1600万円の一戸建てで8万円程度、4億円の20戸のマンションで80万円程度の見通しといいます。掛け捨てで、売り主側が支払いますが、これは販売価格に上乗せされるものと思っていいかと思います。

中小工務店の悲哀 最初に述べたように、今回のシステムは、消費者保護の観点からは、大きな進展で、大手ハウスメーカーは当然に対応を始めていますが、まちの小さな工務店からは、施工を前にため息が聞こえてきています。保険に加入していないと、多額の供託金を積まなければならず、しかもこの供託金は10年間は戻ってきません。このように多額の供託金を積むのは町の工務店では大変なため、保険加入を選択するのが多いと予想されています。ただ、保険会社の委託を受けた検査機構が細かい基準を設けることなり、その基準も機構によって差異があるとなると、しばらくは混乱するものと予想されます。

 

この法律の詳細はニュース六法をご覧ください。

 

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