大阪プライム法律事務所

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日弁連会長選挙が大混乱

12.03.14 | 企業の法制度

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日本弁護士連合会(日弁連・会員約3万2千人)は、この3月14日に、今年2月の次期会長選が決着しなかったことに伴い、上位2名によって「再投票」が実施されました。ところが、決選投票を戦った2名がが、結局、どちらも当選に必要な二つの条件を満たさず、候補者公募からやり直す「再選挙」になりました。
4月になってしまうのに、立候補の受け付けからやり直すわけで、全く新しい者まで出ることが可能な、完全やり直し選挙です。史上初の事態です。どうなるのでしょうか。
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決選投票を戦った2名とは
山岸憲司氏(元日弁連事務総長・東京弁護士会所属)と、宇都宮健児氏(現会長・東京弁護士会所属)です。結局、どちらもが、当選に必要な二つの条件を満たさず、選挙を立候補の手続きからやり直すことになってしまいました。
 
なぜ、こんなことになっているのか?
不思議に思われると思います。日弁連の会長は、全国の会員弁護士の投票で選ばれるのですが、単純に得票数の多さだけで決まらない仕組みになっています。つまり、当選するには、総得票が最多になることに加え、全国52の弁護士会の3分の1超(18会以上)で最多票を獲得することが必要となっているのです。つまりこの2つの条件を満たさない限りは当選しないのです。

この3分の1条件は、会員の6割が集中する東京・大阪の意見に偏らないよう、バランスを考えて作られた規定です。再投票でも適用されます。
 
今回の選挙では、最初に4人が立候補しました。2月の1度目の選挙では、山岸氏は総得票数では最も多かったのですが、弁護士会の3分の1超の要件を満たせず、上位の山岸氏と宇都宮氏によって再投票に進んだ次第です。
 
3月14日の「再投票」の結果
再投票でも、結局、山岸氏8558票、宇都宮氏7486票、弁護士会が宇都宮氏37会、山岸氏14会(同点1会)でした。やはり総得票は山岸氏が上回りましたが、弁護士会の獲得数は宇都宮氏が3分の2を超え、決着がつきませんでした。日弁連の会則により、「再投票」で当選者が決まらない場合は、「再選挙」することにしているのでした。
 
今回と同じような「再投票」自体は、2年前の現在の宇都宮会長が当選した際の前回選挙に続き2度目でした。その際は、再投票で、宇都宮氏が当選したので、そこで終りましたが、今回のような「選挙やり直し」は、初めての事態です。
 
2年前に宇都宮氏が再投票で当選した背景には、新人弁護士の就職難の原因と指摘される法曹人口問題への対応に関して、「過当競争になる」と法曹人口の増加に反対し、地方の支持を得たことにありました。今回の選挙では、両候補とも法曹人口の削減を打ち出したことから、宇都宮氏に前回ほどの集票が得られなかったのだろうと思います。
 
再選挙
再選挙は、3月28日に公示され、4月27日に投開票の予定です。本来は4月からスタートする新会長が決まっていない前代未聞の事態です。このため、宇都宮氏は今月末で任期満了でしたが、次期会長が就任するまでは会長の職務を代行することになりました。
 
すでに会長以外の日弁連副会長は、先日の代議員会で、全員が確定しているのに、トップだけが決まらない状態で、新執行部がスタートするという、本当にどうなるのやら、心配してしまいます。特に、再選挙をしても、今回と全く同じプロセスを経てまたもや当選確定者が出ないことも十分にあり得ます。このままでは、永遠に同じことを繰り返さないとならない可能性があります。
 
くじで決める?
記者会見した選管担当者が言っていましたが、「選挙の仕組みが良いのかどうか、議論しなければならない」と思いますが、当選条件をどのようにいじるかによって、今回の両陣営の勝敗に直結することになるだけに、本当に厄介です。
 
もし、4月の再選挙でも決まらなかった場合は、総会で選挙規程を改正し、「再投票」でも決着しない場合の方法を決めたほうがいいように思います。民主主義の原則からすると、総投票数の多さで決めるのが筋だとは思いますが、それでは、一方に不利であることが明白ですので、この方法が決まるとも思えません。いっそのこと、「くじ」で決定するという選挙改定でもしたほうが、いいかもしれません。日弁連が真剣にやらなければならない問題は山のようにあります。はやく決着しないとなりません。みなさまは、どう思われますか。
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