日高税務会計事務所

マイナンバーは誰のためにあるのか?

16.11.21 | 所長メルマガ

年末調整や確定申告など実際マイナンバーを使用する仕事が始まったり、準備に取り掛っていられる方も多いでしょう。一部マイナンバーの通知が届いていない人もいるそうですし、不在通知を無視し市町村に取りに行かない人もいるようです。「給与所得者の扶養控除等申告書」(社員を雇用し最初の給与が支給されるまでに提出させる必要あり、提出がないと高い税率で源泉徴収します。以後、年末調整の時期に毎年会社に提出が必要)には、本人はもちろん配偶者・扶養親族等も個人番号(マイナンバー)を記載する欄があります。経理担当者は真面目な方が多いので、記載がないと年末調整が完全に出来ないと心配します。マイナンバーを収集出来ないと何か問題があるのでしょうか?

今のところマイナンバーを記載しないことの罰則などありません。収集したマイナンバーの管理が悪く漏洩させた場合、管理者(事業者)に罰則があります。従って、本音としては収集出来ない方が楽でしょう。建前としては記載をお願いしなければなりませんが。今年からの源泉徴収票は、サイズが倍になっています。しかし、本人交付用はマイナンバーを一切記載しません。税務署提出用は、本人と扶養控除等対象者のマイナンバーを記載します。税金計算に関係ない年少扶養親族のマイナンバーは記載しません。市町村提出分には全てのマイナンバーを記載します。それでは市町村がマイナンバーを把握できないと支障をきたすのでしょうか?。そのようなことは無いと思います。元々、マイナンバーは市町村の住民台帳に基づき発行されたものです。住民の多くは移動していません。また、移動があっても住民税徴収のため、市町村間で連絡を取り把握しているはずです。マイナンバーが分かったほうが確認がしやすい程度でしょう。社会保険に関しても今のところ年金基礎番号が分かれば問題ないようですし、何のためマイナンバーかと思う方も多いでしょう。実はマイナンバーの普及を一番期待しているのは税務署です。しかも長期的な視点で。海外への個人資産の移動にも一部報告義務が生じる制度が始まっています。証券会社、保険会社などでマイナンバーの写しの提出が求められることがあります。今後、金融機関でもマイナンバーの提示等が増えるもでしょう。こうして、今まで荒かった網の目が少しずつ細かくなってきています。
 ところで税務署がもう一つ普及を目指しているのが e-Tax です。税理士事務所もe-Tax の代理送信が可能です。過半数は超えたのですが、普及が伸び悩むようです。ここ数年、税務署から副署長クラスが関与先の多い税理士の事務所を訪問し、e-Tax開始を促します。うちの事務所では、税務専用のオフコンは使わず、パソコンで業務を行っている関係から 万が一の復旧に混乱を来す不安からe-Taxを行っていませんでした。しかし、今回の訪問で、来年の所得税の確定申告では、マイナンバー制度による本人確認書類が必要とのこと。具体的に言うと、所得税の確定申告書には納税者のマイナンバーカード等の写し(コピー)を添付し、提出が税理士事務所の職員の場合、税理士証票(身分証明書です)の写しが必要となるそうです。納税者本人が作成し郵送場合も納税者のマイナンバーカード等の写しの添付が必要です。ところで、確定申告をe-Taxで行えば、確認のための提示や添付が一切不要だそうです。つまり、マイナンバー制度の実施にあわせて、e-Taxの普及を意図したアメとムチの制度です。早速、準備に掛かっています。
 税務署からすれば確定申告を行う納税者は、情報提供を行う協力者であります。むしろ、納税者が隠したがっている情報を、他人からマイナンバーを通じ把握することが真の狙いだと思われます。それを知った上で適切にマイナンバーの提出(記入)を行って下さい。

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