社会保険労務士法人村松事務所

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「組織原則が組織運営の問題を解決する」編

17.02.28 | ミニコラム

<昇進昇格不一致の原則(その2)>

前号で、経営者の代わりに商談に来た社員が主任では、相手先の社長は納得
できない場面があることを書きました。

社長と同じ権限を持っていると言われても、にわかに信じがたいというのが実情
でしょう。

そこで、社長はその社員の名刺から「主任」を取り、代わりに「部長」という
役職名に変えます。その名詞を社員に渡し、もう一度その会社に訪問させることになります。

その際、相手の社長はまた同じ社員が来たことに驚くでしょう。しかしその社員は
新しい名刺を渡し、こう告げます。

「私、本日は部長としてお伺いしました」

この発言を聞いた社長も腰を抜かすでしょう。昨日までは主任、今日から部長か。
そんなに急に出世できる会社があるとは信じがたい。

でも確かにこの名刺には部長と書いてある。いい加減に部長になれることはないだろう。
では社長の代わりである部長とこれからのことについて打ち合わせをしましょう。

一応、これで物事は丸く収まりました。ところがこのときに気を付けなければならない
ことがあります。この部長は中堅職層の部長なのです。決して管理職層までは成長していないのです。

このことを経営者はしっかりと説明しているでしょうか。このように対外的な理由で
役職名を変えるケースは決して少なくありません。

社員からすれば役職名が部長や課長であれば、明らかに管理職層として評価されたと
勘違いするのも当然のことです。これが後々大きな悲惨な結果を招くことになります。

仮に部長であれば、役職名としては執行役員を除けばトップです。「一番最高の
役職名がついている以上は、そのように評価してくれた社長から細かいことで注意
されることはないはず」と誤解します。

これが、部長という役職を受けた社員と経営者とのギクシャクしたコミュニケーション
の原因になります。

まだまだこれからだと思っている経営者、もう十分に評価されたと思っている部長。
ここで部長はその役職を任命されたにもかかわらず、細かいことに注意をされることが
嫌で辞めるというケースがあります。

中小企業では最初の役職者は短期で退職する傾向がありますが、その理由の1つがこれです。

今後はこの成長等級と役職名は社員数規模の拡大につれて連動することになりますが、
社員数が少ないときには一致していないことを知らなければなりません。

昇進基準の中で「8・9等級」から部長を任命すると決めても、最初は「4等級」から
部長に任命することになります。

社員数が少ないときには対外的な理由をもって部長に任命することになるのです。

「あなたの成長等級は4等級ですが、対外的な理由で部長に任命します」と明言して
役職を与えることです。

この説明によって、役職を等級に合わずに任命したために途中で退職することはなくなります。

この昇進昇格不一致の原則は、やがて社員が300名程度になってくると適用対象外となると考えてください。
   
   = この続きは、来月またお送りいたします。 =

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