大阪プライム法律事務所

大阪プライム法律事務所

株式会社が一日でできる

18.05.01 | 非営利・公益

4月30日の朝日新聞が、政府が、株式会社の設立にかかる期間を今の10日から1日に短縮できるようにする方向で最終調整に入ったと報じました。登記に必要な公証人による定款認証や、そのオンライン化などの工夫で簡素化していくことが計画されているようです。その背景には、手続を素化して、起業を促す狙いがあるそうで、6月にまとめる新たな成長戦略に盛り込むとのことでした。

関連法の改正も検討するということですが、会社法規定をほぼ盛り込んだような一般社団法人やその他の法人においても、同じような簡素化が進むかもしれません。

■会社設立手続き
株式会社の設立については、企画の段階で、商号や事業計画、本店所在地、発起人や取締役等の役員構成、その他の基本事項を決め、発起人及び役員(取締役等)からの印鑑証明書取得、定款を作成して公証人役場で定款認証を受け、役員の就任承諾書を作成取得、設立時代表取締役選定決議書の作成、資本金払込み(払込証明書作成等)、管轄法務局での株式会社設立登記申請、成立後の税務署などへの各種法人設立届出等々、結構、大変です。これらを全て一日で全てできるようにするのでしょうか。 

■改正の方向性
今回の改正として念頭に置かれているのは、記事を見る限りでは、このうちの公証人役場で定款認証手続きと、法務局での設立登記手続きのようです。

記事に書かれた見直し案では、従前は必ず公証人役場に赴いていたものが、オンライン画面を通じて公証人と面談できる方法を導入するとか、認証後の法務局への設立登記手続きも同時並行でオンラインで済ませられるようにし、24時間で登記まで進めることができるということです。

なお、記事によると、学者や経済界でつくる政府の検討会は、「公証人による定款認証制度そのものが必要なし」との意見で一致していたようですが、公証人を所管する法務省が「不正目的の会社設立を防げなくなる」と反対し、認証制度は残ることになったとしています。これについて、検察官や裁判官OBが多い公証人の既得権益を守るためではないのかとの指摘を紹介しています。 

■一般社団法人その他の法人への波及はあるか
一般法人法は、その主な構成について、会社法の規定をかなり用いています。そして、会社法が改正になるときは、「会社法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」として、あわせて改正がされてきています。例えば、2014年(平成26年)の会社法改正で、会社法の改正に平仄を合わせるように、①外部役員等の概念の廃止と非業務執行理事等の概念の導入、②監事の会計監査人選定・解任等の権限の拡大、③責任の一部免除の拡大などが導入されました。今回の設立の容易化も、同じようなことになるかもしれません。

できれば、起業し易さという視点からは、NPO法人(特定非営利活動法人)なども同様の議論がされてもよいものと思います。

TOPへ